年末・年始で本を一気読みしておりましたな。『山釣り』に感動したこと。

仕事納めが大晦日。仕事始めは元旦であったOSSANであります。

三か日全てが半休でありますので遠出もできず、さりとて用事もすぐに済んでしまい手持無沙汰であります。

その何とも半端な余暇を利用し、昨年読もうと購入してそのままになっておった本を一気に読んでしまうことといたしましたな。

山の霊異記 幻惑の尾根     安曇 潤平 著

山怪 山人が語る不思議な話  田中康弘 著

マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り 工藤 隆雄 著

山釣り            山本 素石 著

以上4冊であります。

OSSANにしては珍しく、全てを一気に読み終えてしまいました。さすがに少々頭がクラクラしてしまいましたがネ・・・

全ての作品の舞台が『山』であるところに我が深層心理の現実逃避的実現希求要素が見て取れるようでありますな。

なかでも『マタギ奇談』は山中生活のスペシャリストである狩人達の智慧、生活、自然への畏れやその誇りが生き生きと描かれ、非常に興味深く又共感を覚え、それらが消えゆく様に悲しくなりましたな。

これらの書籍にも今後ハマっていきそうな予感がしております。

ですが最後に読んだ、

山本素石 著『山釣り』

これが更に素晴らしかったのでありますな。

尊敬する開高健氏の著書をほぼ全て網羅、読破したのが十数年前。「ああ、これでもう読むものは無くなってしまったのだなあ・・・」等と考えていたOSSANはやはり浅はか、傲岸不遜も良いところでありましたな。改めねばなりません。

戦後より全国各地の深山の渓を釣り歩き、魚たちはもちろん、山村の風俗や自然を縦横に活写されています。

その文体には気骨を感じさせるものが一貫して流れ、平易かつシンプル。更にウィットのある挿話を交えつつも読後感は概ね清々しいのであります。

中でも、絵本ともなっている「ねずてん」という短編は出色であります。読み進める最中も次々とワクワクするような心象が脳裏に浮かび、その顛末を二度と忘れることは無いですな。

関西方面に疎い私でありますので土地名や河川名、峠の名などが羅列されると少々立ち止まって、「どのあたりであろうか・・・」と没入感が寸断されてしまうことがあるのがちょっと残念ではありましたな。

しかしこれも後に日本地図やグーグルマップ等を用い、改めて想像を補完する楽しみとすれば、読書以外の遊びをも与えてもらっているということもできますな。

現在ではほとんど使用されなくなったであろう、ちりばめられた豊富な語彙もその意を知りたいという欲求を刺激して、普段は使いもしない我が頭を回転させてくれるのであります。

具体的釣法や仕掛け等についてこの著書の中で細かく言及されていることはありませんな。

代わりに、その昔話題となった「ツチノコ」について描かれております。

高度成長の時代を迎え、あらゆるダイナミズムの波に晒され、世相の激変に抗いようなく消滅していくしかなかった山村への量り得ぬ愛情。

おそらく現代のフィールドに活かされる我々にとって、この作品が突きつけるものはそれらのみで終わらないとは思いますが・・・

しかし勉強不足でありました。著者である山本素石(本名:山本幹二さん)と言う方。

テンカラ釣りを世に広く紹介した第一人者であるとのことでありますΣ(゚□゚;)

”ブーム”というものを蔑視されておられたようでありますが、ご自身がツチノコブームの発信源となってしまわれたことは皮肉であると言えるかもしれませんな。

いやはや。

釣り竿片手の、その洞察力に感服してしまいました。

どうでしょう。

このような本を読むと普段通っている管釣りや渓を取り巻く土地の様々にも興味が湧いてくるかも知れませんな?

釣行の楽しみは魚を釣ることだけではないですからな。

喜びの開幕までを指折り数え牙を研ぎ、内圧を高めつつある諸兄のクールダウンに。

もしまだお読みでないならば、おススメであります。

by カエレバ
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