熊鈴を用意したこと。登山におけるクマとの想い出添え、フィッシングソース掛け。(長いです)

登山中にクマに出会ったことがありますな。

10代も終わる頃、単独にて3月末の栃木県は日光市、女峰山へ登った時であります。

若かりし頃のOSSANは何故か世の中の全てに腹を立てており、一週間ほどテントを担いで山々を彷徨っていたのでありました。

そんなある日。東照宮のお隣、二荒山神社の行者堂脇から入山しましたな。

この数年前に仲間たちと同じコースに挑むも時間切れとなり、敗退していたこの同じ道で、どうしても女峰山に登らなくてはならなかったのであります。

どうして?と聞かれても困りますので聞かないでください。

いつの間にかお年頃を迎えた仲間たちとは疎遠ともなり、山に登ろう等と言う酔狂な人種は当時、自分のみとなっておりました。

後に気づくこととなりましたがこの黒岩尾根と呼ばれるルート。通常は日光市街への下山ルートとして利用されておるようであります。

当時の写真はフィルムプリントなので、当然のようにイメージであります。しかも日本ですらありませんw

もしこの女峰山という山に登ってみようという方がおられましたら、霧降高原〜など別のルートで登られることをお勧めしておきますぞ。

女峰山の頂上まで、無雪期でも6時間前後の相当な長丁場となるうえ、ほとんど登りっぱなしで獲得標高は1700mを超えますな。

避難小屋もありますが山中泊をしないのであれば行動可能時間の長い季節を選んで、十分な装備と(当時の私は持っておりませんでしたがね・・・)相応の体力も必要となるでしょう。

少なくとも、ルンルン気分で行けると思わないほうがいいですな。

どおりでキツすぎると思っておったのでありますよ。その分ピークに立った時の感動はお約束出来ますが・・・

@山渓オンライン・女峰山

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いかんいかん。

話は熊の事でありましたな。

このルートのですね、途中に広い笹原があるのであります。その登山道脇の樹の上にいたのでありますよ。

かなり遠くから「木の上に黒い何かがいるなあ」とは思っておりましたが、熊であるとは思いもよりませんでしたな。

既にヘロヘロに疲れており(この後、さらに腰上まである残雪に苦しめられた・・・)、何も熊対策となるようなものを持たない私は引き返す決心も出来ずに、

「通らせてもらうよ~・・・こっち来ないでね~・・・何か食べてるみたいだけど、気にせず食べててね~・・・お互い会わなかったことにしようね~・・・」

などとこちらの存在を知らせるためにブツブツ呟きつつ、熊との距離約50㍍弱を通過したのであります。

今思えば

無謀以外の何物でもありません。

 

しかし登りはそれで何とかなってしまったのでありますな。

熊はOSSANに興味を示さず、何事もなく通過することができました。

その後は見通しの効かない箇所があるたびに手を叩いたり、大声を出したりしてバッタリ至近距離で遭遇しないように気を使いましたな。

ただでさえ息の上がる、いつ終わるとも知れない急登が続きます。体力の消耗度合いは激しく跳ね上がるのでありました・・・

しつこいようですがイメージです。

やっとのことで数年越しの目的である女峰山の頂を極め、雲上から眼下に見える展望に感動しつつゆっくりと休憩した後はキャンプ場まで帰らなくてはなりません。

登ってきたコースを引き返すのであります。

「またクマがいたらどうしよう・・・」当然考えましたな。

クマがこちらに向かってきたときに対抗できそうなものを持っていないか必死に考えましたよ。

残念ながらありませんでしたな。

どうしても今回でピークに到達したかったOSSANは、装備の量も今思えば危険なほど切り詰めた状態でありました。

シュラフもビバーク装備も持ってきておりませんし、行動食も水もこの時点でほぼ尽きつつあり、ナイフすらキャンプに置いてきておりました。

仕方ないのでエマージェンシー・シート(銀ピカの薄いアルミ箔みたいな、体温を保持するためのブランケット様のものですな)を袋から取り出し、ザックのウェストベルトにはさみました。

こう言うヤツですな↓ 

 万が一クマが再び現れ、考えたくはないがこちらに向かってきたら・・・

このシートを素早く広げて

 

奴の顔にエイヤっとかぶせて視界を一瞬奪い、フガフ

ガ言ってるうちに脱兎のごとく遁走する!!

 

・・・そんな作戦を大真面目に考えておったのであります。いや、ホントに。

既に笑い始めている膝をだましだまし、クマポイントにたどり着いたらですね、

居やがるんですよ、コレが・・・

しかも往路よりももっと登山道に近い木の上に;;

欧米です

どうするんですか・・・他に道は無いんですよ?

登り返して違うルートに向かう?

体力的時間的装備的地理的心理的に、それは絶対的不可能でありましたな。

往路と同じくクマがこちらに興味を示さず通り抜けられることだけを祈りつつ、腰のシートに手をかけつつ、またもやブツブツ声をかけながら通過しようと、クマの上っている樹の横を通過せんとしたその時!

バリバリバリバリ~~~~!!!

 

クマが落ちて(降りて)来ましたな。その距離20メートルあるかないか。

ブオンブオン・・・というような息づかいがヤブの中を突進してきます・・・!

人間と言うものは、本当の危機と言うものに直面すると信じられないくらいの力が出る事もあるようであります。

思い決めていた作戦の事やカクつく膝のことなどすっかり忘れて

約0.07秒で全力疾走状態

に入りましたな。

笹原の道は所々に大きな岩も顔を覗かせ、季節的にも他の登山者の通る可能性は限りなくゼロに近く、足を挫けば遭難であります。

あの瞬間、全身にアドレナリンが沸騰していたであろうOSSANは行者、山伏か、または仙人、天狗であったか・・・

這いつくばるように、やっとの思いで身体を持ち上げ登ってきた大きな落差でさえ岩を蹴ってひとっ飛び。

文字通り、山道を飛んでおりました。

再び森の中へ入ってしまうまで、あの息遣いが頭から消えてしまうまで、ひたすらに後ろを振り向かず走り続けましたな。

恐ろしい事に息もそれほど切れておりませんでした。

追いつかれたら命が危ない。

 

もう、ただそれだけの恐怖で走り続け、行きに7時間はかかった道程を3時間かからずに帰ってきたと記憶しております。

前足の短い四つ足の動物に対して下り坂であったため、助かったのかも知れません。

今思えば、彼の食事が終わりどこかへ行ってしまうまで、息をひそめて待っていなければならなかったのかも知れませんな。

なんにせよ、クマ的平和な日常生活の邪魔をしてしまったのは紛れもなくOSSANの方である。ということは言えそうであります。

しかしまぁ、下山してから食べようと楽しみにしていた蕎麦屋が閉まっているのを発見したときはすきっ腹に堪えましたなぁ・・・;;

フィールドにおいてクマとのニアミスを体験したのはコレが最初でありました。

そして是非とも

これで最後であって欲しい!

と強く願うのであります。

今月末に釣行予定の湯川は奥日光でありますな。

今年もすでに戦場ヶ原周辺及び中禅寺湖近辺にてクマの目撃情報が寄せられておるようであります。(日光湯元ビジターセンター・クマ目撃情報

季節による変動や個体差も大きいようでありますが、40平方㌔以上の行動範囲を持つと言われるツキノワクマ。

どれほど人の手が入って観光地化していたとしても、やはりここは基本、彼らの土地なのであります。

数年前には戦場ヶ原の木道上で襲われた事故もあったのでありますな・・・

人出の薄い平日、単独釣行・・・もうね・・・

イヤな予感しかしませんがww

 

もし不幸にも遭遇してしまって、明らかな敵意のもと襲いかかられてしまったら・・・

若かりし頃の身軽さや筋力、気力体力も全てがナイナイづくしとなってしまったOSSANには、ウェーダー着用状態で逃げ切れるビジョンは描けませんな。

もちろん過去の様な、いきなり走り出す等と自殺行為とも言える行動はもう決してとらないつもりではあります。

しかし今のOSSANには守らなければならないものもあるのであります。

むざむざやられるわけにもいきませんので、決死の反撃を試みなければならなくなります。

ですがあっという間に組み敷かれ、あちこちをあの強大な爪で引き裂かれつつも腹部や頭部などの急所だけは必死で防御しつつ、最期の反撃である渾身の鼻面正拳突きや決死のサミングに己の命運を賭けるしかなくなってしまうのでしょう。

ああ・・そんなのは・・・

やだやだやだヤダヤダヤダ・・・!!(✕1万回)

 

絶対にイヤですな!

 

 

悶絶しているばかりでは始まりませんので、熊鈴だけは用意しておくことといたしました。

鈍い人間などよりも早くこちらの存在を知覚して頂き、できれば釣りの邪魔をしないでいただきたい。近づいてこないでいただきたい。

興味すら示さないでいただきたいし、ましてやブラフ・チャージや付きまといなどは決してしないでいただきたい・・・

フライフィッシングのために、登山でも用意していなかった熊鈴を初っ端のフィールドから用意することになろうとは正直思いもよらなかったのであります。

商品名にもベア・ベルとありますからな。真鍮製、実測87㌘。多少重いのは仕方ないか・・・金属製の風鈴的な高く澄んだ音。音量も街中では迷惑レベルですな。

 これは熊鈴と言うより、クマベルと言うべきでしょうな。

好奇心旺盛な若熊であったり、人の(持っているものの)味を知ってしまっている熊に対しては逆に呼び寄せてしまう・・・という説もあるようであります。

しかしそうでない大多数(と思いたい)の熊との不用意な遭遇を避けるのには役に立ってくれると信じることと致しますな。

鈴、ベル以外のクマ対策としては

  • 笛を吹く(鈴やベルと求める効果は同様だが、体力を消耗しそう)
  • 爆竹を鳴らす(一発では効果に疑問だが束で使うなら・・・散乱するカスも気になる。人の多い場所では・・?)
  • ラジオを鳴らす(山ならまだしも人の声すらかき消されがちな沢筋等ではどうなんでしょう?ラジオは好きですがフィールドでは様々な気配に神経を澄ませておきたいですな。)
  • 鉈、ナイフ等で戦う(最終手段としてはアリなんでしょうが、これらの携帯が慢心につながる気もしています。何より重いのですな。)
  • クマの行動の活発な朝夕の行動を避ける(釣りにもゴールデンタイムなんですがそれは・・・)
  • 単独行動を控える(スイマセン無理w)

などが良く言われているところでありましょうか。

 もっと積極的に、熊を撃退するためのスプレーがあることも知ってはおります。

その効果は狂暴・巨大なグリズリーやホッキョクグマ相手でも有効(なものもある)とのことで非常に頼もしいのでありますな。

上手く使えれば・・・という注釈は付きます。

ちょっと想像してみますな。

腰などへ装着したスプレーをですね、片手にロッドを持った状態で軽くパニックになっているOSSANの思考回路で冷静に射程範囲まで熊の接近を我慢し、風向き等も計算に入れつつ安全装置を解除し噴射することは可能でありましょうか?

・・・自信がありませんな。

そして高価なものでもあり、様々扱いにも注意が必要なようであります。

ナイフ、鉈等でのデスマッチよりは良さそうなものの、やっぱり最終手段の類であると感じておりますな。

なにより、これを購入してしまうと今回のキャンプの食事が全てカップ麺になってしまう(ような気がする)のでありますな。

あちこちに出かけ、再び怖い思いをするようなことがあればすぐに手に入れることになるのでありましょうが、今回は見送ることといたしました。

 

 @環境省 クマ類出没対応マニュアル -クマが山から下りてくる

フィールドでクマに襲われる確率はその他の蛇、蜂など危険な生物によるものよりかなり少ないと言うことであります。

ほとんどの場合、クマが先にこちらに気づいて避けてくれているからだそうでありますな。(これは推測でありましょう。熊に聞いてみないと・・・)

しかし各地で人(人為物含む)馴れした個体の発生やマタギに代表される狩猟者の減少。

過疎化や経済構造変化等によって里山に人手が入らないようになったことで熊たちに住みよい環境となり緩衝地帯(バッファーゾーン)としての機能低下を招き、お互いの生活圏が接近してしまった事によるクマとの遭遇率は増加傾向でもあるということであります。

・・なんか難しくなってきましたな・・・

とりあえず。

今ワタクシにできることと言えば、お互いの不幸を防ぐために備えと構えを怠らず、しっかり恐れ慢心せず、神経を研ぎ澄ませて参るしかないのでありましょう。

 

今月の末、湯川にてキョロキョロしつつ不必要なほどに熊ベルを鳴らしている挙動不審なアングラーを見かけたら・・・

それはきっとOSSANなのであります。

 

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コメント

  1. すぺっくるど より:

    こんばんは
    クマ問題、私も頭を悩ませております。
    今じゃ山奥のみならず、どこに出没してもおかしくないですからね。
    先のシーズンの渓流釣りでも、クマにニアミスだったし…(先行していた釣友が見つけた)
    今までは、笛・鈴・ラジオ・蚊取り線香といったクマ避けの装備でしたが、今シーズンは最後の手段としてクマスプレーを購入しました。
    こんなものは使わずに、シーズンを終えたいものです。

  2. おっさん より:

    すぺっくるど様、こんばんわ!
    その後も情報収集を続けておりますが、いよいよ怖くなってきてしまいました。
    鈴をもってあちらに避けていただくことを優先しつつ、万一に備えナイフとトレッキングポールを携行することといたしました。
    釣りをしつつも、気配や痕跡に注意してまいります!
    どうか遭遇しませんように・・・