よく覚えていないものを省くとこんなところでありましょうか。
これらの中で特に気に入っていたのはサンマルコ・ロールスでありましたな。
人にMTBを譲ったのと同時に手放したのでありますが、そこからサドル変遷が始まってフライトに落ち着いた経緯があります。
未だに販売されているのは知っておりますが、ロードバイクに300㌘超のモデルを選ぶ気にはなれませんし、デローザSKには似合いそうもありません。
MTBのサドルをロールスに戻したいかな〜とも考えておりますが、これはまた別の楽しみにとっておくことといたします。
しかしここは一つ、最新のサドルを試してみる気になったのであります。
その理由はザックリ言うと2つであります。
①
これまで気が付かないフリをしてきたのでありますが、衰えた我が臀部に対してフライトは硬すぎるようであります。
もしかしたらパッド部分が劣化、硬化しているのかも知れません。
そりゃあ’90年台から使用しているのでありますからね・・・。
②
以前の記事で膝に発生する痛みを和らげるためにも、ライディング・ポジションおよびフォームを探り続けている事に触れました。
そして最近ようやく「このあたりかな?」と落ち着いてきたのであります。
しかしそれらは漢の人生において大事なマイ・ロッドに対する負荷を上げてしまうものでもあったのであります。
サドルの角度を3度~4度前下りにすることで決定的な痛みからは逃れておりました。
しかし二時間以上のライドになってくると、どうも坐骨〜マイ・ロッド辺りに痺れが出てくるようになったのでありますな。
更に漕ぎ続けると、足の先端方向へも痺れが広がっていくようであります。
今でこそ滅多に振るうことも無くなっていますが、ここでわざわざトドメを刺す事もないかなぁ・・・と考え、所謂
柔らかめの穴あきサドル
を手に入れてみることとしたのであります。
- 一万円前後で収まること。(合わなかった時の経済及び精神的ダメージを抑えるため)
- 穴あきor溝つきタイプであること。
- パッドは厚すぎず、薄すぎずでお願いしマス。
- 色は黒ベース。
- カーボンレールは却下。(高価&気を使う&耐久性に不安。)
- だけどできるだけ軽いこと。(バイクの振りは軽いのが好き)
以上を要件として、実はずいぶんと長いことリサーチしてきたのでありますな。
そして先日、とうとうポチったモデルがコレ。
箱とか、そんなに豪華にしてくれなくていいのですが・・・。
ASTUTE SUN VT
(アスチュート・サンVT)
というサドルであります。
順当にselle ITARIAの現行モデルから選べばよかった気もしたのですが、どうもピンと来なかったんですな。
このサドルの存在をサイクルショップwebの商品紹介で初めてみたとき、何処と無くフライトに似た雰囲気を感じたのでもありました。(実は全くそんな事はなかったのだけれど・・・)
サドル全幅は14㌢で変わりませんが、フラット部分はSUN・VTの方が3センチ程広いですな。快適であります。
エントリーモデルとされるこのサドルは日本先行新発売(2018/6~)のものらしく、レビューを見つけることは出来ませんでしたな。
しかしアスチュートというメーカーの、他の(高級な)モデルは概ね好評のようなので己の勘を信じることといたしました。
交換の前に、現在のポジションが大きく変わらないようにサドル位置を再現するための寸法をメジャーで計測、メモしておきます。
我が家に水平を作り出せそうな板はコレしか無かったのであります!
コレが正しいやり方かはわかりませんが、
- ボトムブラケットセンター〜サドルトップの高さ
- フォークコラムセンター〜サドルの後端
がだいたい同じ数値になるようにセットしましたな。前下りとなっていたセッティングは水平に戻します。
まだ300㌔ほどしか走行しておりませんし、調整中でもありますが以下個人的感想ですな。
① 軽い。
フライトTiは実測242㌘。対してSUN VTは205㌘であります。
その差はたったの40㌘弱にもかかわらず、持ち上げても、ダンシングでバイクを振っても、軽さを感じることができましたな。
バランスが微妙に変わったのでありましょうか?スプロケットや、リアディレイラーの重さを意識するようになってしまいました。
きっと気の所為で、すぐ慣れてしまうのでしょうが・・・。
② パッドはしなやかで柔らかめ。
プログレッシブ・メモリーフォームという形状記憶素材がパッドとして採用されておるそうであります。
ボリュームは十分、反発力はコシがありつつも優しく感じ、非常に好印象であります。
③ よく見ると複雑な形状で形作られている。
サドル中央〜前部にかけて盛り上がるような形状で、組付けの際に少々悩みましたな。
結局水平にセットしましたが、具合が良いです。
加重された際のベースの撓りと、この形状が腰を始めとするポジションを安定させてくれるようです。
しかも意識的に動くときにも邪魔にならない絶妙さを感じていますな。
トルクをかける漕ぎ方をする際、前乗り気味になってもマイロッドが痛くなりにくいです。
サドル全長はフライトTiが約28㌢。SUN VTは26㌢と短くなり、これだけでダンシング〜着座を繰り返してもサドルの先端がケツを攻撃してくる事がなくなりました。
④ 足を回しやすい。
この理由を未だうまく分析できておりませんが、ケイデンスの維持がフライトと比較すると圧倒的に楽であります。
サドル全長が短くなったことによって、疲れてきて膝の軌跡が暴れてきても内股がサドルに接触することも減りました。
全体的にストレスがありません。
・・・なんだかべた褒めですな。良い事ばかり書くのも何故か悔しいので恒例のBADポイントも書いてしまいますな。
① 地味すぎる。かな?
そりゃあ、複層パーツ&蛍光カラー使用の上位モデルと比べてはいけませんけどね。
バイクを降りて眺めるとその存在感のなさが残念だったり、逆にそれでいいと思ったり・・・微妙な気分であります。
② 表面のカバーの材質が弱そう&仕上がりは残念。
Italy製マイクロファイバーが使用されているというシート表面は、触り心地やパンツとの摩擦特性に不満はありません。
しかし固いものに擦れたり、尖ったものに引っ掛けたりと言うアクシデントには弱そうな印象であります。
実際にはそんなことも無い可能性もありますが、気を付けて扱いたいと思う部分であります。
裏面を覗き込むと接着製法でありましょうか、少々雑な仕上がりに感じます。
これはマァ、価格なりというところですな。
③ 先端のマークが気に入らない。
そんなこと言っても仕方ないと自分でも思っているのでありますよ。
機能には影響しないし、それは単なる思い込みに過ぎないと分かっているのであります。
ですが、どうしてもこのマークを見ると頭に浮かんできてしまうのであります!!
内容もすっかり覚えていませんが、今見たら爆笑できそうな予感がします。
分かってます!!
ASTUTEのUなのであってVじゃないことくらいわかってます!
でもどうしても、目に入るたびにVに見えて、「超電磁スピン!」とか「超電磁ヨーヨー!」とか頭に浮かんできてしまうのですよ!!!
どうしてくれるんだアスチュートさん!!
冗談はさておき、これは良さそうであります。
これまで30㌔も走ると襲われていた坐骨の痛みやマイロッドの痺れは、倍の距離を過ぎても発生しなくなったのでありますな。
更に距離を伸ばせば痛みも出てくる予感はありますが、それはきっと我がケツとペダリングが鍛えられていないせいである・・・と断言できる程度であります。
だからと言って「このサドルはおススメです!!」とはページ冒頭の理由により、決して言えないのが難しいところであります。
単に”自分には合った”というだけでありますからね。
自分に合っているサドルは「ライド中にその存在を意識しないサドルである」と考えています。
心肺、筋力、持久力、エネルギー変換能力・・・これら諸々より先にケツが限界を迎えるようでは決してイケナイのでありますな。
ペダリングや体重移動時に、どこかが引っかかるようでもストレスとなります。
その上しっかり腰を安定させつつ休ませてくれて、イザというときにはバイクの挙動をしっかりコントロールできるようでなければならない・・・。
人が跨ってしまえばすっかり目立たなくなってしまうのに、スポーツサイクル構成パーツの重要度で言えばかなり上位のモノの一つであると感じています。
サドル沼にハマる覚悟をしていましたが、新興伊太利亜メーカーのサドルがこうも簡単にハマってくれるとは思いもよりませんでした。
これは相当にラッキーな出会いなのでありましょう。
ですがこうしてサドルを変更したことで、とうとう先代の”ロードレーサー”から引き継いだパーツが無くなってしまいました。
自らの生成物である腫瘍が身体から摘出された寂しさなどは全く感じませんが、自転車のサドルの代替わりには少々想うことのあるOSSANなのであります。