フライフィッシングは言うまでもなく
超絶メンドクサイ釣り
でありますな。
恐らく異論のある方は少ないのではないでしょうか。
その難解でメンドクサそうな細部を更に凝視してみると、「いやぁ、コレは大変なことになるゾ・・・」とすぐに予感してしまう、茫々とした広がりが待ち受けておるのであります。
ソレがどうしようもなくオモシロイのではありますがネ・・・
なぜかOSSANは今シーズン、
フライフィッシングをもっとメンドクサくしてみよう♡
などと考えてしまったのでありますな。
フライラインであります。大変高価な糸でありますな。
それは通常イメージされる釣り糸とは異なる、” 軽いもの(フライ)を遠くまで運ぶ ”という重要な役割を担っている糸だからであります。
現代のフライラインは、ダクロンやナイロンのコア(芯)にPVCコーティング等をされたものが一般的であると言うことです。
各メーカーさん毎に独自の表面処理等も施され、樹脂中に空気やウェイトを練り込んだり・・・
その手間のかかりようは他の釣り糸の比ではないのでありましょうな。
しかも釣り用のラインとしては比較的長持ちし、日本ではフライ・アングラー人口も少ない・・・
それらのことが理解できるまでは、ショップでその値札を見るたびに眩暈すら感じ、極限まで鍛え抜かれ絞り込まれた己の財布を恨んでおったのであります。
未だに少し名の知れたメーカーのラインは、偶々ワゴンセール等になっていないと決して手を出せないのではありますが・・・
そんなワタクシが今季より、まさに後方宙返り4回転半捻り飛び込み並の離れ業をカマしてしまうのであります。
なぜか唐突にシルクラインに手を出してしまうのでありますな!
実は以前から気になっておりました。
現代ならこういった糸も作れるだろう・・・じゃあ昔はどうしてたの?と。
この辺も書いていくと大変なことになってしまうので端折りますが(ご存じですネ^^;)、どうやら直近と言いますか、近代と言いますか、フライラインにはシルクも使用されていたそうなのであります。
言うまでもなく蚕の繭から作られる天然動物繊維でありますな。日本での生産は1900年頃をピークとして、徐々に衰退していったそうであります。
そういえば親父殿の実家にはその昔、養蚕のための建屋が一棟ありましたっけ・・・。
そのシルクを使用したフライラインは未だ、細々とではありますが愛好するアングラー諸氏の間で支持され続けているらしいのでありますな。
一寸興味本位で調べ始めましたら、これが素晴らしくメンドクサイ代物。
細やかなメンテナンスが欠かせないというのであります。
- 新品のラインは数日をかけてグリスUPと乾燥を繰り返すべし。
- 使用前にはエイジングしておくべし。
- 使用中にラインの浮力が低下してきたらグリスUPすべし。
- 釣行後にはすぐさまリールから引き出して良く乾燥させ、グリスUPすべし。
- オフシーズンにもリールから引き出して保管すべし。
シルク製フライラインの性能を維持し享受したいのならば、内角を狙いエグリこむように打つべし打つべし・・・!(古いですネw)
どうにも手間がかかるようなのでありますな。(フライラインへのグリスUPは「グリーシング」と言うようです。以下そのように。)
現在使用しているラインですら、メンテナンスを少しでも楽にできないか・・・などと常々考えているOSSANなのであります。
そんなダラシナイ者が扱える物なのでしょうか?
試してみなければわかりませんナ。
という事で、今年のハンドクラフト展で手に入れてまいりました。
矢野シルクラインさんのDT #3でありますな。
実はもう一つ気になるメーカーもあったのでありますが、今回はメイドインジャパンに拘ることにしたのであります。
数本ずつの束となった糸が更に撚られているように見えます。もうココから普通のフライラインではありませんな。
テンカラのブレイデッド・テーパードラインにも似ていますが、もっとガチガチに編んでコーティングされている様子であります。
此奴に付属のグリスを指で塗り込んでいくのでありますな。
このグリスにも様々なものが用いられるそうで、その配合などもきっと企業秘密なのでありましょう。
禁漁期~低気温~雨&残雪及び雪代~新ウィルスの蔓延~薄くなってゆく財布・・・。
出かけるタイミングの掴みづらいこの時期に、「うふふふ・・」などとほくそ笑みつつグリーシングを繰り返す日々はもう二ヶ月を超えました・・・
娘の視線が気になるものの、まぁ之はコレで幸せな時間なのかもしれないなぁ・・・と思うことにいたしましたな。
そろそろ次の段階に進んでも良いでありましょう。
エイジングであります。
製品にはその方法の説明が記された紙片と、練習用のシルクラインの切れ端が添えられており、どうも慎重に行わなければならない雰囲気なのでありますな。
しかしこれまで散々シゴいてきたラインであります。
その太さや編み込みの強度の変化、ところによる柔軟性が異なる様子等も、グリスとともに指先へ沁み込みました。
このエイジングの必要性すら、指先で理解できた気になっているのであります。
いきなり本番でありますな。
ハンドクラフト展ではロッドガイド等で行う事を丁寧に説明いただきましたが、ライン表面の凹凸のようすを思うと他の物を代わりにした方が良い気がしました。
ガイドの寿命を縮めてしまうのではと、小心者のOSSANは恐れるのでありますw
さて。
もう何度これらの工程を繰り返したのか、わからなくなってしまいましたな。
こうまでして、何故シルクラインと言うものを使ってみたいと考るのか?
現代のフライラインは圧倒的にシンセティック・ラインが主流なのですな。
しかしシルクラインは完全には淘汰されず沈潜し、一部では熱狂的に(?)支持されておるようなのであります。
そうであれば、使ってみなければわからないシルクラインならではのメリットと言うものがきっとあるはず・・・!
そう考えるのが普通だと思うのであります。
それは何でしょう?
もしかしたら、シンセティックラインに対して抱いている不満を解決してくれたりして?
シンセティック・ラインにシェアを奪われていった理由とはいったい・・?
む~~~っ!
気になって仕方ないのであります。
何としても、ニワカ・アングラーなりに確かめねばなりません。
着々と準備は整いつつありますが、特別なフライラインのシェイクダウンは特別のフィールドでなければなりませんな。
先の見通せない昨今でありますので、少し先のこととなりそうであります。
フライフィッシングやシルクラインもメンドクサイのでしょうが、
自分の性格が一番メンドクサイ
のだと気がついてしまった穀雨の休日であります。