釣りに出かけ、ツマミの数尾を持って帰るつもりの日。
そして先日デビューを果たしたファミリーキャンプ。
そのような時、必ず持って行かねばならない漢の(に限りませんがね)ギアがありますな。
ナイフであります。
今回のキャンプでは前日にOSSANがキンキンに研ぎあげた、屋外用三徳包丁をカトラリーケースに入れ忘れるというポカをやらかしてくれた細君は、魚さばき用のガーバー・コーホというフィレッティングナイフで全ての調理をこなす羽目となりましたな。
まあ、今回はあまり凝った調理をするわけでも無かったのでそれほど不便は無かったのでありますが・・・。
OSSANの持ち込んだ刃物しかないという環境で、娘の積極的野外料理お手伝い作戦はだいぶ制約の多いものとなってしまいました。(ゴメンね;)
家では気の向いた時に包丁を使わせるようにしておりますが、まだまだ刃物を扱うことに関しては赤ん坊であります。
このフィレッティングナイフで人参や玉ネギを切る娘の手元を見ているとそれは恐ろしく、せっかくの気分の良い酔いが覚めてしまいましたな。
フライフィッシングに手を出し、久しぶりに魚を捌く必要が発生したことからこの”コーホ”だけは軽く研いで使用しておりましたが、こんなことならもっとしっかり手入れをしておくのでしたな><;
手入れのずさんな切れない刃物は本当に危ないです。
対象に刃がすんなり入りませんので無理な力を入れることとなり、アッと思った時には大怪我につながってしまう危険性が高いのですな。
そんなことを現場で思い出すほどに、OSSANのアチコチは鈍ってしまっているようであります・・・。
話を戻しまして。
今回のキャンプに行くにあたり、久しぶりに仕舞いこんであったフォールディングナイフも引っ張り出しましたな。
BUCK110 フォールディング・ハンター
アウトドア・フォールディングタイプのナイフでは言わずと知れた古典的名作でありますな。
ですがこれがまた、恐ろしいことにお菓子の袋すらすんなりと切ることが出来なくなっていたので帰ってきてから二本ともしっかり研ぎあげました。(ステン製でよかった・・・)
最近、面白くなってきてついでにナイフのことについてあれこれ調べております。
中学生時代。
当時の仲間達との、今思えば呆れるほどの馬鹿げたキャンプに持ち出す丈夫な刃物が必要でありました。
そしてその時、それは決して”包丁”や”肥後守”ではダメだったんですな。
カッコよく、バタ臭い”西洋式ナイフ”でなければならなかったのであります。(分かりますネ・・)
焚き火生活至上主義を貫く(大人数の為、コンロ等ではコスト的に都合が悪かった・・・)我らとしては、どうしても頑丈なナイフが必要なのでありました。
これもずいぶんと無理して手に入れたのだと思いますがネ、その後のメチャクチャな生活とアルコール摂取過多のせいで残念ながら記憶があまりありません。
知識のないということは恐ろしく、嘘かマコトか釘ですら切断できる(!)と喧伝されていた(でしたよね?)手に入れたばかりのこの110で、これは最近言葉を知りましたが所謂バトニングをしてしまっておりました。
太い薪を火がつきやすいように、本来斧等の仕事をナイフでやってしまうあれです。
薪に食い込んだナイフの背、刃先を他の薪などで叩き、ガシガシと割っていってしまうんですな。
出来ましたけどネ・・・。
幸いにして刃こぼれもしませんでしたが、可動部に僅かなガタが出来てしまいましたな;;
実用上問題ない程度でありますのでこのままにしておく予定でありますが、可哀想なことをしたものであります。
この現代においてレクリエーション的屋外活動におけるナイフの役割とは一体どんなものがあるのでありましょうか。
どうしてもナイフでなければダメだと言う状況は限られておるように思いますな。
ダイビングやザイルを使用するような登山等、エクストリームな状況に備えなければならない場合や、ブッシュクラフト(←この言葉も最近知りました。)に臨む場合や、好き好んでサバイバルを試みる遊びでないかぎりあまり必要ではないのかもしれませんな。
特にオートキャンプの場合、何でも持っていくことができてしまいますのでね。
調理には使い慣れた包丁とまな板のほうが数倍も便利でしょうし、ピーラーを持っていくことだってできます。
高性能な着火剤はいくらでも購入、準備することもでき、我が細君は驚いたことにバターナイフまで忍ばせておりましたな(あの、包丁は・・・)。
でもね、OSSANはこれからもキャンプにはこのナイフを持って行きます。
何ででしょうね?
多分、不安だからですな。
楽しんでいる最中に何らかのアクシデントに見舞われ、持ち込んだ道具がことごとく使えなくなってしまう。ケータイは圏外。
不思議な事に周囲半径25㌔には人も居なさそうだ。日没まであと数時間しか無い。さてどうしよう?
一寸考え難いですが・・・もしかしたら人生、そんな状況に追い込まれてしまうことはないとは言い切れないかも知れないかもしれませんな。
そこへ、たった一本のナイフの有る無しで状況に雲泥の差が出ると考えております。
そのような状況での具体的な対処法は自由に想像して楽しんでいただければ良いのでありますが。
そんな時がもしあったとしたら、このBUCK110が手元にあって欲しいなあとOSSANは考えるのであります。
しかしナイフを初めて選ぶ方で、釣りやキャンプ等屋外生活的レクリエーションに持ち出すのにこのナイフをもし選ぼうという方がいらっしゃいましたら、
「やめておいた方が良い」
と言わねばなりません。
- フォールディングですが結構大振りです。
- 200g以上とかなり重量級です。
- クリップド・ポイント(反って尖った切っ先)は慣れるまで気を使います。形状から欠けやすくもあります。
- その重量バランスもあまりよくありません。(切っ先が上がる感じ・・・)
- ハンドル部分に真鍮を使用しており匂いが気になるかも知れません。
- (OSSANの持っているモデルの)425Mと言う鋼材は比較的柔らかく刃もちはあまり良くないです。
- 手入れをしないと緑青が浮きますw
などなど・・・
もう少しだけ調べて、想定する用途に合致するであろうナイフを選んだ方がいいと思いますな。
なんだか良いところがないような書き方をしておりますがね、さにあらずOSSANは大好きなんでありますよ。
さすがにもう登山やトレッキング等に持って行く気にはなれませんがネ。
比較的柔らかい鋼材であると言うことは研ぎやすいともいえますし、刃こぼれを起こしにくい。こぼれてしまっても直しやすいとも言えるわけであります。
しっかり研いでやれば切れ味にガッカリすることもないと思いますな。
ですがホロウ・グラインドといってブレードの厚みが少々くびれている形状ですので無理はできません。
手に入れた当時は、こういったナイフの選択肢は非常に限られておった気がします。
現在ではもっとお安く、軽量で、高性能な鋼材が使用されているナイフが沢山あるということですな。
もし今後新たにナイフを手に入れるとしたら、こういうのを選ぶと思いますな☟
でもOSSANはこの色々とガサツで、何をするにも中途半端で不器用だけれど、頑丈で手をかければ切れ味も文句のないこの110をずっと使い続けますよ。
想い出が染みすぎているのであります。
過ぎた時の記憶を肴に部屋でこのナイフを弄り回すのは、この重量が幸いしてなのか、なかなかに良いもんでもあります。
そしてイザ、キャンプの夜にバーベキュー等ででっかい肉が出てきたり、フェザースティック(この作業にこんな名前もあったんですな)を作る必要等があればこいつの出番ですな。
ご存じない方々から見れば、そのクラシカルさに「ぅおっ!?」と思われる事必定(な気がする)。
何よりも。
シャツ・イン(ここ重要)の腰のベルトに、こいつが収まったケースの重みをそこはかとなく感じつつ、焚火を眺めながらやるバーボンやテネシーの味わいは格別なのでありますな・・・。