そうしていかにも頼りない知識と体力、装備と作戦をもってやって来ました養沢毛鉤専用釣り場さん!
「お久しぶり〜、お元気でしたか〜?」の
二回目となる訪問でありますな。
前回の釣行の反省から、前日は22時にはベッドに入り、読書灯の元で何やら釣りに関する本などを読みモチベーションを高めていこうと考えておりましたOSSAN。
何の事はない前日の夜勤疲れもあって一ページも読み進まないうちに爆睡。朝四時少し前に目覚めることに成功いたしましたな。
しかし偏頭痛が・・・薬を飲み無理やり押さえつけます。もう今日しか無いのです。ないったら無いのです!
前日の雨はすっかり上がり、予報通り暑い一日になりそうな予感でありますな。
空が白み始めたばかりの中央道は快適そのもの。自分の体のコンディションと対話をしつつ、ちょっと言えないスピードで到着致しました養沢毛鉤専用釣り場さん!!
ふふふふふh・・・
事務所駐車場入口にはロープがかかり、先客なし。一番乗りでありますなw
程なくスタッフのお姉さまがいらっしゃいまして、ロープの外された入り口より車を進め駐車の後ウキウキしながら受付に行きましたな。
「あれ・・・オイチャンどっから来たの??」
なんと先客が事務所内にいらっしゃいましたな。しかも作業着的な軽装な方でありました。少しだけOSSANはギョッとしてしまいましたよ。他に車も見当たらなかったと思いましたし・・・
「うぐぐ・・・一番乗りを取られてしまいましたな・・」
まあ、今までの人生において様々なことでOSSANが一番だったことは非常に稀でもありましたのでね、一番風呂でもあるまいし、今更そのようなことにオトナゲなくこだわってみても仕方ないのではありますが・・・
クソ、みてろよ〜次は絶対一番とってやるからな!!(←大人気なくメチャクチャこだわってますな・・・)
しかしですなっ!
いくら流程が4㌔もある養沢さんとはいえ、本日アタリをつけているポイントまで他人の後塵を拝するわけには断じていかないのでありますな!
本日のOSSANには仕事も上の空、夜も眠れず会議で眠り、考えぬいた大作戦が有るのですからな!
そそくさと受付を済ませ「2番」のバッジを頂いた(申し訳ないです。この日OSSANはこのバッジを紛失いたしました;)OSSANはそのまま車に飛び乗ると、初めて目指すそのポイントに一番近い駐車場へと急ぎましたな。
どうしても「夜が明けてそのポイントに一番に仕掛けを入れる釣り人」でなければならないのであります。
これはOSSANが過去に良い思いをした状況の(主にバスフィッシングですがね・・)とても重要なエレメントの一つなのでありますな。
そんなことをツラツラと、しかし鼻の穴をおおきくしつつ考え、駐車場にてウェーダー、シューズを履いておりますうちにも2〜3人のアングラーの方々が到着してまいります。
流石関東のフライフィッシングのメッカ(OSSANが勝手に今決めましたな)養沢さんでありますな・・・
到着するまでの「今日は伸び伸び楽しみたいですなぁ。前回と違い、平日なんですからな〜」等と言う気持ちは何処へやら。あたふたと身支度を整え、ロッドも継がず、リールを装着することもせず、入渓点へ転げ降りましたな。
「とりあえずあそこへ一番に入らなければ・・・」
浅ましい根性だとはわかっております。でもアングラーの方々であればわかって頂けますよネ、この気持ち・・・;;
目的のポイントまで遡るまでにも美味しそうな場所が沢山ありますが、わき目を振りまくり、足元もヨタヨタとおぼつかない有様でなんとか、到着。
そこは・・・
ああ、ずっと目指してきた「そこ」は・・・
未だ陽の光の差し込むには時間が早いせいでありましょう。
周囲の木々の色を映しつつも薄暗く、不気味な雰囲気と水を満々と湛えた大きな淵となっておりました。
堰堤から落下する水はかなりの水量のようであります。風にのって飛んで来る水飛沫があっという間に服を濡らしてしまいますな。駐車場では暑いと感じていたのですが、ウィンドブレーカーを着て来て良かったですな。
フライをキャストするまで30分ほど一服しながら水面を観察しておりました。
あれらの情報を眼にしてからかなりの時間が経過しているはずでもあり、もうそのバケモノは釣り上げられてしまっているかも知れない。
ただでさえここはメッカの、超人気ポイントでもあるわけでありますしな・・・
ライズらしい波紋も、水中でナイフのように閃く横腹も、羽化する蜉蝣たちも見えません。
ただ、ドウドウと川水が落下を続けるのみであります。
でもね。
やっぱりここにはいますよ。
大きさまでは感知できないのは当然としても、水面に生命反応が感じられなかったとしても、ここには確実に何かがいますな。
OSSANの赤錆まみれも良いところの本能がまたもやそう伝えておりました。
養沢にはとても似つかわしくないファストアクションの#5ロッドとラインに3Xリーダー、ティペットは1号です。
このような剛健一点張りであれば小さな魚は食いついてこないと予測してのことであります。
結ぶフライは信用ならない事この上ない急ごしらえの#10オリジナルマラブーリーチでありますが、今回に限っては大好きなインジケーターも付けないことにしておりました。
このタックルの釣場に与えるネガティブ・インパクトを考えればチャンスはそうは多くないのだと思っておりました。
下手なことをすれば夜のあいだに薄らいだ彼の警戒心はすぐにまた呼び覚まされてしまうのでありましょうから。
こんなメジャーな釣場で巨大に育つまで生き残ってきた魚です。それを見越して誰よりも早くここへ立つことにこだわってきたのです。
出来る限り静かに、多くても10数投のうちに勝負に持ち込まなければなりません。
根拠は全くありませんが、きっとそうなんであります。
息を殺しつつ出来る限りソフトなキャスト(と言ってもOSSANのキャスト能力ですからな;;)を繰り返し、数度目のハンドリトリーブ中でありました。
手前の目視できる浅場から急な落ち込みになり水色の変わっているそのさらに少し先。
OSSANのろくでもない諸々を一身に受けて制作された愛しいマラブーフライが「さて、そろそろ上陸の準備でもするか。ああ、めんどくせえ。よっこらしょ」と態度も悪く動きの変化を起こしたであろうその時。
ガッツーン!!
ひったくられるようなアタリでありました。
緊張の糸がはじけ飛ぶ瞬間というものは人間、力加減に狂いが生じるようでありますな。
ハイ・・・
可哀想に二十数㌢のその
1stフィッシュは飛んできましたな;;
う〜む・・・
久しぶりに振る#5ロッドのパワーを完全に忘れておりました。これではあんまりでありますな・・・
「いかんいかん。チャンスは少ないのだ。今日のOSSANは君たちと遊びに来たのでは無いのだよ。」そうココロの中でつぶやきつつネットに収まった彼をリリースしようとしたその時。
OSSANの心と身体は凍りついてしまいました・・・
映像や水族館等の他で、生きているトラウトとしては初めて見るような赤銅色の巨体が、先ほどの落ち込みの先で翻ったのであります。
いや、そんなふうに何かが見えた気がしたのであります。トラウトかどうかだって判りませんでした。
ううぅっ・・!
幸いにして誰もいない渓の中で、こんどははっきりとOSSANの喉からはうめき声が発せられていたはずであります。
しばらくの間、片膝をついた姿勢のままOSSANは動けなくなってしまいましたな。
なんという大きさ。なんという太さ。そしてなんという黒ずんだ凄みのある胴体であったか・・・
これは・・・噂に違わぬバケモノであります。
「あれは・・ちょっとまって。いや、いや、なんだ・・・・ダメだ。一服しよう」
先ほど釣り始めたばかりだというのに、頭が混乱してこのまま「ヨシ、釣り上げてやる」という気持ちに切り替わらなかったんでありますな。
煙草に火を点ける手が震えておりました。
それどころか体全体がゾクゾクとしております。
おかしい。
いくらプールになっているからといってあんな個体がこの場所であの体を維持できるとは考えられない。
アイツは絶対に小さな虫なんぞ食ってない。喰ってるかもしれないが、メインにはほかの魚を捕食して命を保っているに違いない。
ああ、そうか。管釣りだから放流がある。遡ってくる、若しくは落ちてくる魚もいるだろう。それで定期的に餌になる魚が補充されるんだな・・・
一号のティペットで耐えられるか?でもそれ以上は持ってきていない。リーダーコネクターは・・・ネイルノットに結び変えたほうが良いのではないか・・・
それにしてもあの色はなんだ?ブラウン・トラウトだったら水面に近い場所まで上がってくるとあの特徴的な色が周りの水色さえも染めてしまうような印象を持っていたんだが・・
顔は見えなかったな。本当にトラウトだったか?もしかしたら鯉だったんじゃないだろうな・・・
腰をおろし、水面を凝視しながらそんなことをあれこれ考えつつ今さっき己の眼で見たはずのナニモノかに疑問を持つようになってようやく手の震えも収まり、
よし、獲ってやる!
腰を上げましたな。
フライをマーチブラウン・ソフトハックルタイプの#12ウェットに切り替え、以前にまして腰をかがめ、キャスト、リトリーブを繰り返します。
何事も起こらないまま十数投が過ぎ、「ああ、やっぱりトラウトではなかったのかなあ・・・」と考え始めた時に今日二回目のアタリをとりましたな。
1号ティペットのことを考えれば、良く食ってくるなあ。というところでありますな。
ポーズ中にラインをスーッと持っていくアタリ方。そのスピード感から大きな魚では無いことが合わせる前からわかりました。
今度はロッドがほとんど曲がらないとは言え、落ち着いて魚の引きを楽しむ余裕が生まれておりましたな。
フッキングした虹鱒はまたも20数センチ。まあ、右に左に垂直ジャンプと元気なこと。しかしあっという間に寄ってきたその魚のランディング体勢に入ろうと足場を確認しようとしたその時。
ラインの動きに少し遅れて黒い魚影が突進してきます。
・・・!
でた!やっぱりいるんだ!!
今度ははっきりと見えました。
優に60㌢は超えているか、70には届かないか(この辺水中なのでなんとも・・・)と言うかなり暗い体色のレインボー・トラウト(と、思っておるのでありますがね・・)です。
体側から頬にかけてのレッドバンドは控えめな発色です。
先ほど見たと思っていた奴に間違いありません。厚みのある体高。黒ずんだ魚体。今度は尖った頭の形も確認できましたな。
そしてなんと、そのバケモノは大口を開けてOSSANのフッキングさせた虹鱒ちゃんを追い回しているではありませんか!
「うわうわうわ・・・やめて〜!それはOSSANの獲物ですな〜;;」
そう思った瞬間。口が半開きのOSSANとそのバケモノの視線がぶつかってしまいましたな。
サカナ相手におかしいこと言うなと思われるでしょうが、OSSANの驚愕に見開いた眼と、小魚を追い回していたバケモノの視線がガッチリ合ってしまいました。
きっとその時のあやつの気持ちを代弁すれば、
「うはw今日の朝飯いただき〜w あ・・・・;;人間!?」
というようなこととなるのでありましょう。
その証拠にその瞬間、今まさにその大口にOSSANの獲物を捉えようとしていたというのにパッと踵(魚には踵は無いですがね・・・)を返すように深みにもどって行ってしまったのでありました。
一度ならず二度までもその姿を見てしまいました。
でかい。本当にでかい・・・
口、胴体、ヒレ。そしてあの眼・・・
どうしよう・・・コワイ・・・
見てはならぬものを見てしまったのでありましょうか?
ですが、あやつと対峙するために様々な準備をし、OSSANは今、この時、ここに立っているのであります。
しかし今、OSSANは年甲斐もなく恐怖を感じております。
その昔、単独行の山奥でクマに遭遇して以来の畏れを抱いております。
「落ち着け、ここは山奥じゃない。周りじゅう人家だらけだ。相手は川魚なんだ。海のサメでもない、襲われるなんて事もないんだ」
そんな当たり前に思えることを自分に言い聞かせるのでありますが、何としても身体の震えが止まらなくなって来てしまいましたな。
そう、OSSANはまた違う困難に直面しつつあったのでありました。
朝日の差し込まないその淵の気温の上昇は遅く、水飛沫を浴び続けていたせいか身体は冷えきり、根性のすわっていないOSSANの腹は急激にその機嫌を損ね始めていたのであります・・・・;;
どんどん長くなってしまっておりますが、夜勤明けでは今日もここまでで限界ですな。
続きます・・・
コメント
ただ今仕事中なのですが、トイレに隠れて拝読させていただいております。
読んでいて、実にワクワクします。
続きが楽しみです(^^)/
どうか釣れますように!
すぺっくるど様、こんにちわ!
トイレにお隠れに・・・分かりますw
楽しんだあとは所用も山積、なかなか時間が取れません。
もう少々お待ちくださいませ〜;;