10月20日(木)
季節外れの暖かさに恵まれ、ムズムズしますな。
連続の当直勤務を終え、ヨタヨタの体を引きずりつつうらたんざわ渓流釣場さんへ出かけてまいりました。
いえね、本当は前回悔しい想いをした赤久縄さんへリベンジ釣行しようかと考えておったのでありますが、残念なことに木曜定休との事。
仕方ないですな。
この休日を逃すと次回釣行チャンスは11月まで待たなければならないようであります。
しかも一週間程前からおかしな咳の出る風邪をひいてしまい、病み上がりっぽくもあるのであります。
体調と財布のコンディションは最悪であります・・・
今回は我慢できず出かけるとは言え、ルアー、フライミックスエリアのみでマッタリとするつもりでありますな。
しかし、いざ到着。
曇天とは言え汚れきった我が肺に新鮮で凛とした山の早朝の空気が流れ込み、魚の沢山泳いでおる光景を見てしまいますと、愚かなOSSANは当然のように遡るわけで・・・
ヤマメクラシックⅡ入り口〜うなぎ淵〜サイドワインダーまで釣り上がりましたな。
そして、
もうスタートから腰痛が痛いです。
やっぱりおとなしく駐車場前だけで満足しておくべきでありました。・・・
前回釣行時のリベンジを果たそうと一つのポイントで浮気者のOSSANにしては珍しく手を変え品を変えしつこく攻め、時間を使いすぎましたな。
サイドワインダーから上流を伺った際、先行者の若人を発見(このときまで一番乗りだと思ってましたな)。更にお一人そこから追い越されましたので、本日の遡行はここまでといたしました。
本日のOSSANのコンディション及び力量では到底太刀打ち出来ないのは目に見えておりますw
しかし数尾の秋色ヤマメちゃんにお目にかかることも出来ましたな。
大方の予想通りリベンジは叶わず、短い区間のみの勝負でありますがいいペースで虹鱒君たちにも相手をしてもらい、満足してしまいましたな。(これ以上無理させられそうにない腰の不機嫌さであります・・・)
しかしこの日は日が高くなるに釣れ、素晴らしいお天気に恵まれましたな。日にあたっていると汗ばむ程であります。
この陽気に誘われて、平日だと言うのにかなりの人出。
戻ってみるとミックスエリアの区画にはそれぞれ1〜2人は陣取っておる状態でありました。(もっとイージーにリヴァスポット早戸・・・とも考えておりましたが、正解だったんでしょうなあ;;)
どうにも気後れのしてしまうOSSANは場所を求めてどんどん釣り下ってまいりましたよ。
そしてあの日以来のヤマメクラシックⅠへと向かったのでありました。
「あそこはどうも不人気みたいだし、ゆっくりできるかもしれないなあ」
そのように考えひさしぶりに眼にしたその場所は、なかなかのショックをOSSANに与えてくれましたな・・・
この9月に連続して台風が関東に接近上陸、各地に被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。
ここ、うらたんざわ渓流釣場さんも同様でありました。
大水が出た事も知っておりましたし、道中76号のがけ崩れの様子を見ても相当な雨量であったのは容易に想像できるところであります。
つい最近まで車両通行止めであったようでそれを示す立て看板があり、復旧工事は現在も進行中であります。
ヤマメクラシックⅡ入り口の様子が多少記憶と違っておったので嫌な予感はしておりましたが、まさかこれ程までとは思いませんでしたな。
エリア終着点であるそのポイントは無残にも土砂で埋まり、以前見た岩も、複雑な流れも、深みもすべてなくなってしまっておりましたな。
のっぺりした、生命感の希薄な流れとなってしまっておりました。
なんともはや・・・ガッカリであります;;(ショック過ぎて写真を撮ることを忘れてしまいましたな・・)
そうは言ってもまだ午前中でありますからね。仕方ありません、当初の予定通りミックスエリアのみで釣り続行であります。
この区画もよくよく見てみますと以前にあった深い流れの通り道、記憶にある水中の大岩等かなり流され、埋まってしまっておるようでありますな。
変化に乏しい場所を釣るのは寂しいです。
ミックスエリアでは9時〜12時半ほどまでオリジナル・キンパク・ニンフ、レオン&オレンジ、シルバー・サルタン等の沈める系フライが活躍してくれました。
一時はそれこそイレパク状態を堪能できましたが、腰もそろそろ限界でありこのへんで昼食休憩であります。
腰の痛みによるところも大きいのでありますが昼食休憩のあいだ中、どうにも気分が晴れませんでしたな。
混み合うフィールドのせいではありません。フライ至近に着水するルアーのせいでもありません。沢山フラシにキープされる魚を見たからでもありません。明日の仕事が五時起きだからでも無いですし、魚もちゃんと釣れてます。
そして素晴らしく穏やかな時間であります。
仕方ないじゃないですか。自然のなすことでありますよ。
あの台風により実生活上で大変な被害を受け、現在も奮闘されている方々が沢山いらっしゃるのですな。
「この感覚は何処かで味わった事がある。」
”カップヌードル リッチ 無臭にんにく卵黄牛テールスープ味”(230円/税抜き。強調することも無いかも知れませんが。)をすすりつつ、考えておりました。
思い出しましたな。
幼き頃、岩手県の親父殿の生家のある村に通じる県道が、いつの間にかそれまでの土、砂利道からアスファルトへとキレイに舗装されていた夏休みでありますな。
母屋から子供の足で歩いて15分弱ほどでありましたか・・・
1.5車線ほどの県道のわきに、樹液の染み出すウロを持つ古い栗の木が立っていたのであります。
そこへは朝、日の出る前に駆けつけてみると必ずと言っていいほど複数のカブトムシのペア、大当たりとしては大きなノコギリクワガタ。
ハズレとしてコガネムシやカナブンの類、カミキリムシ、タテハチョウの仲間。寝坊して日が昇ってから見に行くとスズメバチが待っているのでありました。
一心に樹液に群がる昆虫達に、少年は息を殺しつつ見惚れるのでありました。
そこに生活する人から見ればつまらん物なのでありましょう。
ですが、それこそツマラン都会育ちの少年にとって、短すぎるその滞在期間中に毎朝その場所をチェックしにいくことはとてつもない楽しみであったのであります。
ある年の夏。
県道は拡幅され、見慣れたアスファルトにより舗装されておりました。
道の脇の農業用水路を覆っていた雑草も綺麗に刈り払われておりました。
そしてあの「秘密の栗の木」も伐採され、いくつかの丸太として放置されておりました。
それを見た時の気持ちをどう表現すれば良いのか。OSSANはここでも又、いまだにうまい言葉を見つけられていないのであります。
その年の少年の落胆は見るに忍びない程だったようで、大人たちは「あんなもんはいくらでも居るから」と言って、更に山奥に有る沼のほとりに立つ巨木から両手に溢れる程のクワガタ、カブトムシを獲ってきてくれたのでありました。
もちろん驚き、歓びましたな。
少年は「自分で(その場所を)見たい。自分で捕りたい」と言いました。
ですが大人たちは「マムシがでるからあそこへ近づいてはダメだ。好きなだけ獲ってきてやるから。」と言うのでありました・・・
車が通り過ぎるたび、巻き上げる土埃を吸い込まないよう息を止める必要がなくなりました。
車の出せるスピードが上がり、都市部へ出る時間も短縮され、「車に気をつけろ」と言われるようになりました。
スーパーカブに乗った郵便屋さんはもう大変に喜んでいるようで、日焼けで真っ黒な顔をクシャクシャさせながら汗を拭い、麦茶を本当に美味しそうに飲み干しました。
大きな穴ぼこに溜まった水たまりにも気をつける必要はなくなりました。
何もかもを便利にしてくれたそのアスファルト・ベルトは、それまでスキあらば道路を侵食しようとしていた雑草たちを何故か逆にジリジリと追いやることに成功しているようです。
「そこ、道路と関係ないし」と思える木々が伐採されたことも後になって気づきました。
あれほど熱心に「こっちだコッチだ」と道を教えてくれていた、恐ろしくも美しいハンミョウたちが激減したのもこの年以降でありました。
その他の昆虫たちに出会う機会も、そうとすぐに気づくほど少なくなりました。
もちろん全ての原因がこの「道」のせいではないんでしょう。
OSSANも色々と「知ってしまった歳」となりつつあるようでありますし、己が住んでもいないのにあれこれ言おうなんてことは考えません。
かたや自然のなした事。かたや必要故の人の営みの結果。
似たような気持ちをもたらされたとしても、それはOSSANの身勝手なセンチメンタリズムにすぎないのでありますな。
うらたん管理者様は重機を入れ、鋭意釣場の整備に乗り出されておられるようですよ。
楽しみに待つことと致します。
そのようなことをあまり具体的にではなく考えつつ、
OSSANにしては珍しくキッカリ1時間程休憩を取った後、再開した午後の釣りはガラッとパターンが変わっておりましたな。
あれほど好調であったウェット、ニンフが沈黙。#18アダムス(的フライ)にするとやっと反応、フッキング共に満足できるようになってきました。
大好きな割には久しぶりにキャストする、小さめサイズの縦巻きハックルフライに反応が集中することを発見するまでに3時間以上かかってしまいましたな。
更によくよく観察すると午前中には見かけなかった小さなユスリカのような羽虫と数少ないですが3㌢程の乳白色の羽虫が飛び交っておりました。
カリカリするOSSANを更におちょくるように空中ジャンプしていたマスはこの小さな羽虫を狙っておったようであります。(水中からよく見えるもんだと感心しますな)
眼をショボショボさせながら巻いたお気に入り縦巻きハックルフライ。
同じようにショボショボする眼を必死に凝らし結びつけた#18アダムス、#16、#14ライトケイヒルが爆発するのを見るのは愉しかったですな。
歓びの時はもう少しだけ続きそうでありましたが、17時をまわった初秋の山あいはもう水面に浮かぶはずの#12のEHカディスも見えなくなりました。
「うらたんざわ渓流釣り場」さんへはこれで今年最後の釣行となりそうであります。
また来年伺うことと致します!!