ライト・ケイヒルというフライが好きでありますな。
言わずと知れたキャッツキル・スタンダード。ハックル縦巻きパターンであります。
このフライに限らず縦巻きハックルパターンのフライは、キャスト時の空気抵抗のせいで回転してしまいティペット(フライ直近の糸)に撚りが生じてしまいます。
巻かれたハックルファイバーの微妙な螺旋形状のせいでありましょうか。
その飛距離、ティペットの伸び・・所謂投射性も良くはないのですな。
あまり細かい事に気を使わないOSSANでも、このフライを10分も使い続ければそれはもう
ティペットにおける絶望的ヨリヨリ状態
に見舞われ、ティペットの交換作業を余儀なくされます。
面倒なことこの上ないのでありますな。
しかしこのフライ。現在の心細い私のフライ・レパートリーの中でも別格の扱いを受けております。
R・コーチマン(もう滅多に使わなくなりましたが)と並んで、ボックスへストックされていないと不安であります。
それほどにこのフライを信用しているのは、ここ一番で助けられた経験が幾度かあるからであります。
もちろんどんな状況でもこれさえあれば大丈夫などと言うつもりはありませんし、各人それぞれそのようなフェイバリット・パターンをお持ちの事でありましょう。
現在のOSSANには、まさにそれがライト・ケイヒルと言うフライであります。
そしてよく釣れるという要素以外に何が良いかって・・・そりゃあもう、
良く見える
コレにつきますな。
縦巻きのハックルのお陰もあって水面高くその姿勢を屹立させてくれ、色合いも明るく比較的遠くの水面でも目立つのであります。
キャスティングセンスの壊滅的なOSSANは、フライを投げ終えてからその在処を見失ってしまうことが多いです。
#18以下の小さなフライを用いる時にはほとんど見失っております。
あの辺を流れているかなぁ・・・と思って目を凝らしていても、2M以上も離れた場所で水飛沫が上がり、
うぉ!そっちだった!?
とアタフタしてしまうことも多いのでありますな・・・
ですが、このライトケイヒルならばそんな心配は(多分)ないのであります。
#18フックに巻いた小さなサイズでさえローライトの水面でも非常によく目立ち、コンスタントに魚を連れ帰ってくれます。
ティペットについてしまうヨリヨリ・チリチリ癖や、その交換の煩わしささえ目を瞑ればこれほど信頼に足るフライパターンもないのではないかと思っておるほどであります。
こいつをですね、今期も巻いておきたいのでありますが小袋で購入していたライトジンジャーのサドル・・・
これがあまり好みではありません。
自分で購入しておいてナンでありますが、もう少し黄色味が強いイメージが好きなんであります。
溪で捕食される瞬間を見かけた名の解らぬカゲロウ達も、もう少し色味が濃かったイメージなのであります。
その種類によって色合いも当然に異なるのでありましょうが、現時点でOSSANの目に焼き付いている、か弱くも美しくハタハタと飛翔するカゲロウのイメージは浅黄色なのでありますな。
このサドルハックルはパッケージされた時期が古いせいなのか、艶もあまりよくなくパサパサしている印象であります。
使い切る前となってしまいましたが、どうしても好みの色のハックルで巻きたくなってきてしまいました。
よく行くショップの店頭在庫に適当な物が見つからなかった事もあり、カラー指定をして輸入元から(実は昨年)取り寄せてもらったのでありますな。
ライトケイヒルに用いるハックルのカラーは”ライト・ジンジャー”なのは百も承知なのでありますが、そこへもう少しだけ虫っぽさをプラスしておきたいと考えました。
Bared Mid Ginger (バード・ミディアム・ジンジャー)
(バー模様の入った生姜色)
というものでありますな。
バーの入ったハックルのメジャーなものと言えばグリズリーなわけでありますが、これのベースカラーがジンジャー系である。というカラーであります。
グリズリーハックルの、フライに仕立てたときの何とも言えない虫っぽさは実感しておるところでありますので、このジンジャー系カラーにも是非その印象が欲しいのであります。
これを用いてですな・・・
ライト・ケイヒル様を巻いてしまうのでありますな。
いや、それもうライトケイヒルじゃないし!
という声は聞こえません。
この機に今まではイエロー染めのマラードダックを使用していたバンチ・ウィングでありますが、モノホンのウッドダック・レモンも奮発してみました。
その出来上がりの差はと言いますと・・・・
このような塩梅。
ウィングの差異は今一つ自己満足の域を出ないと感じてしまいましたが、其処ここの渓で見かけたカゲロウの記憶色に近い仕上がりと言えそうではあります。
バーの入ったファイバーをグリグリとハックリングしますが、淡いコントラストのせいか白黒のグリズリーと比べシマシマ具合は目立ちません。
全体にライトブラウンになってしまいましたな;;
ですがこれまでのバラ売りのライトジンジャーで巻いたものと比べれば、虫っぽさは2割増しと言ったところでありましょうか?
そういうことにしておきましょう・・・。
ついでにと言っては何でありますが、やはりパラシュートスタイルも巻いておきますな。
しかし二本巻いたところで、在庫が沢山あることを思い出して中断・・・
・・・・
・・・
混ぜてみようw
グリズリーと混ぜて。
思い切ってブラック。
こうしてみると濃色のハックルとの混合で巻くと複雑な色合いとなり、ボディのダビングカラーを変更すれば好みな感じになりそうな予感はします。
しかしこの配色なら、高価なウッドダック・レモンを使用する意味が全くもって見いだせないですな・・・;;
何らかのハックルティップを用いたアダムス系の方がしっくり来ます。しかもライトケイヒルの”よく見える”という長所はムチャクチャにスポイルされてしまっております。
これではアカンですね;;
う~む・・・結局パラシュートフライ優先で使用していくのは、めんどくさがりのOSSANとして目に見えているのに、ちょっと巻きすぎましたな。
今季は意識して使っていくことにいたします。
そうとしても。
いかにもフライらしい佇まいの縦巻きハックル・フライが大好きであります。
タイイング・ハイも去って振り返ってみると、ズラリと並んでしまった美しいハックル・ケープたち。
一体何回分の釣行を賄ってくれる量なのか・・・と愛おしくも空恐ろしくなります;
ハックルケープの買い増しはもうこれで(しばらくは)打ち止めにしよう。
と密かに誓う、雨水前日の昼下がりであります。