2つの趣味で必要性を痛感!TALEX&POCで度付きの偏光グラスを造ったこと。

この冬も天候、体力、時間が許されればロードバイクを漕いで体力の減退を食い止めようと足掻いているワタクシであります。

しかし思いもよらぬ障害が立ちはだかったのでありますな。

自転車用のアイウェアを買わずに、コンタクトレンズもつけずに済む!と喜んで使用していたシールド付きのOGK-AR1と言うヘルメット。

夏には多少暑い事を除き、大きな不満もなく使用してまいりましたな。

しかし今冬を迎えて、眼球へのダメージが想定外に大きいことが分かってしまいました。

AR-1のシールド脇から侵入した冷たい風が、更にメガネを回り込んで絶妙な角度で目に吹き付け、走っている最中ず~っと涙をチョチョ切らせるのであります!

異物(飛んで来る虫など)からの防御力にも満足しておりましたが、この寒風の巻き込みの辛さには我慢できなくなってしまいました。

走る距離が長ければ長いほど、帰宅してからの眼球の違和感が強烈なのであります。

鏡で己の顔を見ると目が真っ赤に充血しておりますな。

ここまでになると何かしら後になって問題が起こってくるかも知れず、「これはちょっと放っておくことはできないなぁ・・・」と。

姿勢の維持が辛くなって上目遣いのポジションになりすぎていることも一因でしょうし、現在使用している眼鏡の形状も多分に影響しているかとも思われます。

しかしこれは良い機会でありますな。

いよいよ釣り用の度入り偏光グラスを造る決心をいたしました。

・・・って、なんでやねん!!

というベタな突っ込みを是非して頂きたいところなのでありますが、フライフィッシング用・ロードバイク用にそれぞれベストなアイウェアを用意するお小遣い的余裕はないのであります!

2つの用途に兼用できるのであれば、

コストパフォーマンスは倍!

です。

しからばハナシが変わってくる・・という事でありますな。

↑フライフィッシングの際は、眼鏡をスッポリと覆う形で運用する偏光オーバーグラスを使用しております。

毎回つけて釣り始めるのでありますが、脱着の煩わしさや視界の減光具合、何よりかけ心地の違和感などに嫌気が差し、いつの間にか外して釣っていることの多いものであります。

偏光性能も大したものでは無く、「まあ、明るいうちには使わないよりは多少マシかも・・・。」という程度のものでありますな。

バスフィッシング時代にはいくつかちゃんとした偏光グラスを購入し、実は未だに保管しております。

しかし過去2.0(たぶんそれ以上)あった視力も今は見る影もなく、現在は使用できなくなってしまいましたな。

一生コンタクトは使わないと決めておりますので、今後も日の目を見ないと考えるともったいないものでありますな・・・。

性能要件を考えていきます。

  1. 釣りの際に必要な偏光性能。
  2. 風の巻き込みを防ぐデザイン。

この二つは必ずクリアすべきマスト・アイテムとして、

  • フィールドでの経験上、眩しいことよりも薄暗いシチュエーションで不便を感じる。レンズの色は薄いほうが良さそうであります(可視光線透過率が高いものってことかな?)。
  • 現在かけている眼鏡はレンズの上下幅が狭く、前傾姿勢における視界の確保に難あり(ライド中はほとんど矯正視界が得られない)。
  • 釣りガールやギャルローディをガン見しても悟られないミラーコーティング。

等々と要求機能をリストアップしていきましたな。

当然、調光機能も考えてみました。

しかしよくよく調べていくと、濃い色からクリアになるのは少々時間がかかるものであるということがわかりました(最近は比較的早いレンズもあるとのことですが、やはり数分単位ではあるようです)。

しかもレンズ濃度の変化は”紫外線量”と”気温”に大きく影響されるようであります。

必ずしも求める調光具合にはならない可能性が高い気がしたのでありますな。

フライフィッシングの時には徒歩でしょうから、レンズの濃度変化スピード等も大きな問題とはならないかもしれませんが、短めのトンネルが連続するようなコースをライディング中であったらどうでしょうか?

かかるコストの割にストレスを招いてしまう結果となってしまっては、それこそ目も当てられません。

今回、調光機能は捨てることといたしましたな。

整理してみると、

@ フレームは自転車用のカッチョイイものから選び、耐風性と上目遣いポジションでの矯正視界を確保。

@ そのフレームに可視光線透過率の高い、度入り偏光レンズをインストール。

ということになりそうです。

更に方々を検索してまいりますと、カーブのきついスポーツグラス・フレームに度入りの偏光レンズを組み合わせるには高度な技術とノウハウが必要なのである・・・ということもわかりましたな。

どうやらそれなりのショップへ出向かなければならないようであります。

年末年始にかけて、仕事に真面目に取り組むフリをしつつ「これ以上は現物を前に、プロに相談してから決めていかなければ埒が明かない・・・!」というところまで思考を煮詰めていきました。

数多ある、度入り偏光グラスを作成してくれそうなお店をずいぶん長いことリサーチしておったのであります。

そしてとうとう、ココは!! と感じたショップさんへ突撃してまいりました。

上野は御徒町の、ちょっと周囲が寂しくなってきたあたりへお店を構える

周囲は様々な小規模卸会社等が犇めいておりますな。釣具屋も自転車屋も比較的近所に点在しておりますので、どちらさまも油断なさらぬよう。

EAUDEVIE(オードビー)

さんでありますな。実は広くその名を知られている名店であるとの事であります。

ランニング、登山、ライディング等のアクティブ系からフィッシング、ドライビング、ファッションアイウェアまで網羅するプロショップであります。

ヒネクレ者の私としては、それだけのことでは却って敬遠していたかも知れません。

しかしオードビーさんのHPは、「此方でお世話になりたいな・・」と思わせるものだったのでありました。

自分トコの商品を使って、ちゃんとフィールドワークをこなしてらっしゃる。ということであります。

フィッシング、登山etc・・専門的な情報もあり、知りたい情報にたどり着くには少々迷うこともあるかも知れませんが、なかなかに興味深いものであります。

「ドモ、こんちわ〜・・・(徐に壁一面のアイウェア達を眺め始める)」

「なんでもご相談くださいね。」

ハイ、そのために来たのであります・・!

「スイマセン、度入りのサングラスを作ろうと思ってきたのですが、ちょっと入り組んだ状況でありまして・・・」

「ハイ、どう言ったものでしょう・・?」

「ロードバイクに乗っているときに風を巻き込まずに視界が広くて眩しくなく、トンネル等へ突入しても暗くなく、釣りの際はどんな天候条件下でも魚も地形も川底の岩も良く見えてイブニングや木々に上空を覆われるローライトな渓流でもほとんど視界が暗くならず、しかも出来る限り軽量で掛けるとマルセル・キッテル並にカッコよくなってギャルにキャーキャー言われるんだけど我輩のスケベたらしい視線が決してバレないアイウェアを作っていただきたいのであります。予算はコミコミ壱万円であります!!」

(「・・・帰ってください。」)

久々の無茶振りをイケメンスタッフさんにカマしたのでありました。そりゃぁこういうのを無理難題というのですな、わかっております。

必ずどこかに相反する部分が出て、妥協しなければならない箇所は出てくるのでありましょう。

しかしココであからさまに「うわ、ヤベー奴きたww」という態度を取られるようであれば、静かに退店し行きつけの立ち食い蕎麦でも啜って帰ろうと思っていたのであります。

「どんな釣りをされるんですか?」

背後からお声がけいただいたのはこの店のマスターでありましょうか?筋のシャンとした様子の、シンプルなセンスを纏うナイスミドルでありました。

「フライフィッシングであります!自転車にも乗ります。その両方を極高度に両立できる度入りのアイウェアがほしいのであります。こちらのHPを拝見し大変感銘を受けました。此方のお店であればきっと我が願いを叶えてくださると思い、齢47を迎える本日藁にもすがる思いではるばるサイド6のスヴェトラヤ方面からハイパーループと京浜東北線を乗り継ぎ参りました。クドいようですが金はありません!」

「・・・どれを選んでいただいても度入りには出来ますから、先ずは気にいるフレームを見つけましょうか。」

Oh・・・

自陣のサービスと商売のスタートラインに、とっ散らかって結局何が言いたいのか分からなくなっている素人客を落ち着かせスマートに誘導する。

ちゃんと話を聞いてくれそうなそうな雰囲気であり、ホッとしたのでありました。

偉そうにバリバリの脚色を交え綴っておりますが、その後緊張の大汗をかきつつ様々なフレームを試着した結果、判明したことがあります。

どうもワタクシ、スポーツグラスが似合わないようであります。

前もってアタリをつけていた比較的安価なルディプロジェクトのモデル、近頃の大人気フレームであるオークリー等のキツいカーブを持つフレームは、

お相撲さんが無理に小さなメガネを掛けてる状態

となることが判明いたしましたな。

我が顔面が大きく且つ平たいことがそう見える原因のようであります。そのようなフレームは上下のレンズ幅も狭めで如何にもウルトラセブン的であります。

もともとがアングロサクソン族の細身な顔面骨格に合わせてデザインされているのでしょうから、やはり迂闊な選択は出来ないのでありますな・・・。

どぉおおぉおぉすこぉーいってオイwww

ライディングポジションを模してみて、「レンズはここにあって欲しいな。」と思われる位置まで調整したときに、視界下方にレンズの切れ目やフレームが見えるデザインは好みでない事もわかりました。

シュッとした、いかにも「ワシ自転車漕がせると早いんだかんね!!」というレーサータイプのフレームは、どうやら諦めるしか無いようでありました・・・。

かと言って釣りに使うのに無難と思われる形状のフレームを選んでしまうと、サイドからの寒風の巻き込みを許容しなければならなくなってしまいそうでもあります。

上方及びサイドにガードが施されたモデルもありましたが、イマイチ垢抜けない(イヤ、そもそも顔が・・・)感じです。

アアでもあろうかコウでもあろうかと、ズラリ並ぶ数々のフレームをとっかえひっかえ。

とうとう、しっくり来るモデルを発見できたのであります!

オリジナルレンズに施されるエア・フローのための穴は再現出来なかったようであります。 無難なデザインに見えますが、フレームの上下幅がかなり広いですな。

POC DO Flow

というモデルでしたな。

ロードバイク用としては少々スマートさに欠けるような気もしますが、沢山試着をした中での視界の広さ&違和感の無さはダントツであります。

視野の広さ=釣りの際の大きなアドバンテージとなり得ることは経験則として疑いがありません。

流行りの一眼レンズタイプではありませんな。

同メーカーのそちらも掛けてみましたが、鏡を見て0.08秒で絶望しました。(なんだっけな?X-MENに出てきたキャラが相当残念に出来損なった感じ・・)。

逆に考えれば普段使い(多分しないけど)にも違和感が少ないデザインと言えるかも知れません。

フレーム自体の軽さも他モデルとそれほど変わらないようです。

カーブは比較的緩めなので風のブロック性能には少々の妥協があるかも知れませんが、これは実際に走ってみないとわからないことでありますな。

このくらいのカーブが限界のようであります。しかし私には誂えたように顔の湾曲へフィットします。レンズの明るさも際立ちますな。

少なくともライディングは考慮されているモデルでしょうから、純然たるフィッシング用よりは期待できるのではないかと。

オー・ド・ヴィーさんは様々フィッティング、チューンナップもしていただけると言うことで、このあたりは後で調整してもらうことになるかも知れません。

似合うか似合わないか・・で言うとたぶん似合ってないんだと思いますが、お相撲さん状態よりはマシであると思い込むことにいたしましたな。

たぶんもう、気にしても無駄な顔面様式なのだと思います。

大丈夫、きっと。鏡とか見なければ・・・・重視するのはあくまでも眼球保護と偏光性能なのであります!!

このトシになって今更ながらの哀しい現実を突きつけられつつ、

フレーム決定の後は視力検査をしていただきました。

激安・量販店でしか眼鏡を作ったことのないOSSANが、初めて目にする数種の機械を覗き込み様々な見え方に関する質問に答えていきます。

それは驚く程のテスト量でありました。

ウィーン・カチャ・・ ウィーン・カチャ・・・全自動ですよ。

Cマークを左右上下答えるんじゃないですよ?

左右の見え方や軸のズレなどもガッチリ補正してくれ、免許更新の際めちゃくちゃ苦労した深視力もビシッと決めていただきました。

きめ細かい多数の測定項目と、出来上がったサンプルレンズ(あのホラ、ラピュタでドーラ一家のジっちゃんが掛けてるようなあれです。)の見え方にすでに感動してしまいました。

現在掛けている眼鏡は一年ちょっと前に作ったものですが、左が1以下、右は1.2くらいしか見えていないということも判明。

近くの小さなものが見えない・・・ことは別の方法を模索することとし、視力は1.5になるよう調整していただきましたな。

キャストした小さなフライが遠くからも見えること。視界の隅に起こる小さな変化を察知できる感覚を、もう一度手にしたいのであります。

そしていよいよ偏光レンズを選ぶのでありますな。

オード・ヴィーさんのHPを前もって隅々まで読んでいたワタクシは、「視力の正確な測定とレンズの偏光性能及び見え方選択のためには、晴れた午前中の来店が望ましい。」という記述(これはOSSANが勝手にまとめた解釈です)に従っておりました。

7〜8種のサンプル・レンズを用意して頂き、冬晴れの店外へ。

幾度も幾度も、各レンズをとっかえひっかえ。自らテンカラ・フィッシングをされるというミスターに親身なレクチャーと助言を頂きつつ最終的に選んだのは

TALEX ラスター・オレンジ

と言うものでありましたな。

もっと調色感が少なく見えるグレーやグリーン系のものもありましたが、路上白線のコントラストの出方やブロック敷きの歩道の微細な立体感、建物の陰影部に感じる明るさや視野全体に感じる優しさと鮮明さなどがバランスよく調和している雰囲気が非常に気に入りました。

限度はありましょうが、ある程度のローライトな渓流やライディング時にとても良さそうな予感が働きました。

決まりです。

て・・・んん??

ア、ちょっと待ってくださいな。もしかしたらコレって・・・

「出来上がりを楽しみにしていてくださいね。フライフィッシングもロードバイクも、両方の趣味に素晴らしい効果が発揮されるアイウェアになると思いますよ。」

「そうですね、きっとそうですよね!」

「3週間後をお楽しみに。お会計はン万円となります。」

・・・ッ!!

やはりそうでした。

TALEXといえば、偏光レンズでは日本で最高峰の性能を誇るという超高級レンズだったはずであります。

一度使うと、もう他のレンズには戻れなくなると実しやかな噂のレンズであります。それくらいはモグリの私でも知っていますな。

そう言った高級品はワタクシには縁のない物でありますので、敢えて存在を意識しないようにしてこれまでの人生を送ってきたのであります。

示された発注書には、その日本製最高峰偏光レンズの度付き加工料金がズバッと書き込まれております・・・。

昭和13年創業という誇らしきプロダクトは、ポッと出のSWEDENメーカーのフレームの価格なぞ悠々と突破してほぼ倍。

トータルで考えると安めのフライリールなら数台いけちゃうよ・・・!?という豪儀さと金額なのであります。

フィールドテストはまだですが、実際すごいレンズだと思います。

・・・妥協せず気に入るレンズを選んだらコレだったのであります。

大変親身になって頂き時間もかけてもらって、その性能に納得もしている今、「もっと安いレンズ無いスか?」と聞くことはもう出来ないのでありますな;;

店に足を踏み入れた時の傍若無人な態度はどこへやら。半分白目を剥きながら財布を取り出す他なかったのでありました。

このような危機を脱する為の唯一の武器と言えば、大人のみに使用を許された

夢と浪漫を召喚する魔法のプラスチック製カード

だけなのであります(当然その後は清貧生活を余儀なくされますが・・)。

鼻や口から自身であったものが抜け出て行かないよう必死に堪えつつ、ええい!もうここまで来たら・・と思い出したことを聞いてみました。

「これにミラーコーティングをつけると・・」

「せっかくの明るいレンズが多少暗くなりますし、映り込みも出る可能性がありますからやめたほうが良いです。」

「あ・・ハイ。」

キッパリと言われてしまいました。まぁきっとしばらくは鼻血も出なくなるでしょうから、それ以上は固執しませんでしたな。

もともとセットされているレンズはカール・ツァイス製。もったいないですが仕方ありませんな。フレームはmade in italyです。

イヤハヤさすが・・・正にプロショップでございました。

思いがけず大枚はたいてしまうこととなりましたな。懐は真冬に逆戻りでありますが、後悔はしておりません。

こうとなってはフライにバイクに、大回転してもらわないことには元が取れません!

あちこちフィールドへ連れ出し、適当なサンプル(写真)が貯まりましたらインプレ記事も書いてみようと思っていますな。

いつものように雑に扱って壊さないよう、気をつけなければなりませんな;;

シェアする

フォローする

コメント

  1. たなか より:

    お久しぶりです。たなかです。
    OGKカブト・AERO-R1、いいなと思って買う寸前でしたが意外な弱点があったのですね。
    夏に暑すぎとは聞いておりましたが私も眼鏡野郎でコンタクト嫌いなのでちょうど良いと思っておりました。情報ありがとうございます。

    • OSSAN より:

      たなか様、こんにちわ!
      いえいえ、AERO-R1はとても良いヘルメットだと思います。ただ私の使用している眼鏡(カーブが弱くレンズサイドも空間があり、シールドを回り込んだ風が丁度入ってくるのです。)と相性が悪かったのだと思います。
      通気性に関しても、インテークの多い他のモデルと比べればの話ですから。
      現在はカラーパターンも増えて更に魅力あるヘルメットになっていると思います。