職場が勝手に連休を組んでくれるのを良いことに、これまで行ってみたいと思いつつも果たせなかった場所へドンドン行ってしまうのであります。
雨の合間を縫って、南会津・檜枝岐エリアへ行ってきましたな。
二日間の日程で別の川を釣る予定をたてました。
せっかく4時間弱も運転していくのでソロキャンプも欲張ります。
しかし前日までどのキャンプ場に行くのか、はたまた林道での車中泊とするのかを決めかねてもおりました。
アルコールが残らないように晩酌の量を計算し、あっという間の睡眠を終えて家を出ます。
寝入っている家族を起こさないよう、暗い中でコソコソと身支度を整え、身の回りのモノだけ持ってそっと鍵を閉めます。
前日までに、荷物は全て車へ積み込んであるのですな。
まるで悪いことをしているような妙な気持ちになりますが、高速道へ乗ってしまえば忘れられるのであります。
これからの二日間は、どうすれば美しい溪魚を手にできるのか。
懐かしい檜枝岐で、釣りのことだけに集中できるのでありますな。
そう、「懐かしい」のであります。
実はワタクシ。高校生時代の一夏を檜枝岐の民宿の一軒で、住み込みアルバイトをして過ごしたことがあるのですな。
もうそれは、とても遠くて朧な記憶の断片となってしまっております。
しかしナビゲーション任せでたどり着いた檜枝岐は、やはりどこか見覚えのある景色であり、同時に自分が随分と遠くへ来てしまったことを実感させるのでした。
もし面識ある方々とバッタリ出会っても、変わり果てたossanを見て瞬時に思い出すこともないでしょう。
己の顔に刻んできた時間に、それほどの自信があるわけでもありません。
このご時世に態々、マヌケな自己紹介でもしますかな?
今さら尋ねるようなことはありません。
さて。
候補の一つであったキャンプ場を横目に林道へ分け入り、ちっとも懐かしくない渓へ降り立ちます。
檜枝岐漁協・伊南川水系のBB川です。(捻りすぎかな・・・英語に直訳、略したカンジですw)
それほど深い意味があって、この川で釣ろうと考えたわけではないのですな。
檜枝岐近辺を地図等でサーチしていくと、どこも良さそうな渓ばかりで目移りしてしまっていたのです。
渓に沿って林道が通っていることと、釣行時間を少しでも稼ぐため、キャンプ場が周囲に点在しているエリアを選んだのでありました。
それにしても、なんと怖い程の緑の深さでありましょう。
前日まで雨が降っていたせいもありましょうが、車から降りた瞬間に森の密度と緑の匂いに圧倒されてしまいます。
タックルセット後ドライフライで打ち上がり始めると、前夜あれほど抑えて飲んだはずのビールがあっという間に全身から吹き出してきます。
風が吹かず、高湿度で汗も全く乾かないので気持ち悪いです。
そんな中で釣りのために意識を集中すると、つい口呼吸になってしまい余計に喉が渇いてしまいますな。
先日の鬼怒川でもそうでしたが、500mlのお茶一本では心細い思いであります。
だからといって飲み物を1ℓも持つのは重量・体力的に現実的でなく、この季節は何らか良い案を練らねばならない・・・と感じておりますな。
豊かな森からの給水で、BB川には十分な水量がありました。濁りもなし。
早朝のためか、サイズの小さなメイフライと動きの素早いカディスがチラホラと。時間が経てば良い思いができると確信が持てました。
天気も良すぎることもなく、理想的な高曇り。
もう、心配な事と言えば魚がいるかどうかだけですな。
あ、あとクマに出食わさないように、意識してクマ鈴を鳴らさないとイケマセンね。なんと言っても檜枝岐ですから。
それから水の透明度に騙されて深みに入らない事。この水勢では足を掬われそうであります。
どうも雰囲気的にヘビとかが沢山住んでそうなので、おかしな所へ不用意に手をついたりしないこと。
それと浮石が多く危なそうなんで慎重に歩を進める事と、楽しいのはわかるけど帰りの体力と飲料も残るようにペース配分していくこととか・・・
・・・何だよ・・・!!
心配なことだらけじゃん、俺やべぇwww
はじめて訪れる川のリズムを、おっかなビックリで探りはじめて間もなく。
連続する落ち込みの、一際大きな岩の手前で盛り上がった水面を勢いよく割ってくれたのは、どこか優しい顔立ちの岩魚でありました。
その様子からどう見ても放流モノでありますが、20数センチのサイズに似合わぬファイトを魅せてくれましたな!
日光方面では辛い仕打ちを受けておりましたので、こんなにも早く坊主の不安と恐怖から解放してくれた檜枝岐は、心優しいフィールドでありますw
・・・しかし。
Ossanもいい歳のオッサンなのであります。
来たばかり、釣り始めたばかりで、世間知らずの初心な岩魚を一尾手にしただけで、完全に鼻の下を伸ばし切ってしまうのでは油断が過ぎると言うものであります。
これまで何度もそんな目にあってきたのでありますな。
初っ端にいい手応えを感じ、こちらがいい気分で期待を膨らませていると、向こうもまんざらではない様子。
しかし追いかけてみるとちょっと離れ、無視すると寄ってくる。
ある日、珍しく話が弾んで意気投合しイザ本題に入ろうとした瞬間、初心そうに見えた相手の本意というか、不純な動機というか、企みというか・・・
虫も殺さないような表情の中に、そのようなモノが不意に見えることがあって、
うは・・危ないトコロだった!
などと急ブレーキを踏まざるを得ないことって、ワリとよく稀にあるじゃないですか。
・・・え〜と。
「好事魔多し」じゃなくて、「油断大敵」の方が適当かな・・・「勝って兜の緒を締めよ」じゃ仰々しすぎるし・・・。
まぁ とりあえず浮き足立つことなく、ポーカーフェイスを保って釣りを続行しなければなりません。
誰も見てないのでそんな必要は全くないのだけど。
急傾斜やグラつく岩、滑りやすい川底の質、水流の強さや身体へまとわりつく湿気。
どんどん体力が消耗していくのを感じます。
ここ最近の天候と、予定していたライドイベントの中止もあり、ロードワークを怠りがちで増えてしまった体重が恨めしくて仕方ありません。
腹回りのみならず、近頃は顔の周囲にも見慣れなかった肉がつき始めたのを実感しています。
腰や足首、膝への負担と、キャンプの準備にも体力を残しておかなければならないのですが、なかなかにキツいフィールドであります。
これまで経験した、どことも違う雰囲気を持った渓であります。
どんどん釣り上がっていくと、ドンドン山の中に入っていってしまうのが確実な、ちょっとコワイ雰囲気もあるのです。
釣りのための道具しか持たずにそうしてしまうと、きっと進退極まってしまうことになるのでしょう。
でも、あの岩を超えたらどんな景色があるのか。
視界や空が開けるのか。水色や流れはどう変わるのか。その深さは、魚は、森は・・・!
この期に及んで未だしつこく絡みつく様々な枷を気にせず、力の限り登っていってしまいたい!
そんな衝動に駆られてしまうのであります。
「こんな釣りができる時間は、あとどのくらい残っているのだろう。」
タックルや装備ばかりが問題なのではないのでありますな。
厳しくも高揚させてくれるこの素晴らしいフィールドにあって、いつか来る、その瞬間への焦燥に苛まれておりました。
そんなワタクシを、BB川の岩魚たちは慰めてくれるようでありました。
しかし釣れども釣れども・・・
フライのサイズを上げたり、ウェットフライを沈めたりしても、皆サイズの揃った放流岩魚ばかりであったのであります。
もちろん無反応より釣れた方が楽しいのであります。
しかし数時間もそのように釣り上がっていくと、これ以上擦り切れようなく摩滅して、イザという時のために心の奥深く仕舞い込み厳重に施錠したはずの、
残り少ない良心が痛みます;;
人をして「鬼畜君」とまで言わしめたことすらあるワタクシも、相手が子供であったりヒト以外であったりすると意外にもココロ優しいのです。
もう随分釣り上がってきてしまいましたが、迷いが出てきてしまいました。
今日は誰にも行き合っていないが、相当人気があるというこの川で、このような小さな魚たちを嬲っていて、それでいいのか。
明らかに当歳仔、もしくは放流間もない岩魚たちばかりであり、この子たちは今こうして釣られてダメージを受けるべきでは無いのではないか?
大きく育つことを阻害する、決定的な悪影響を与えてしまうのではないか・・・?
そんなことを考え始めてしまって、集中力も切れていたのでありましょう。
足の力とバランスだけでは攀じ登ることのできない大岩に、無造作に手をかけた瞬間、
ニュルリ・・・・
(硬い感じ)
見なくてもわかりました。
この異様な感触は、我が人生でも数えるくらいしか経験したことのない手触り。
どう考えても、ヘビであります;;
うぅj;ぁきあおhrぎんゔぁpk」伊m;l〜A〜ーjpn!!
アラフィフのOSSANは甲高い悲鳴をあげつつ、とっさに支点としての手を離してしまいました。
当然のようにバランスを崩し、足も滑らせます。
あとはお分かりのように、後方の水中へ背中からドボン!
落水した場所が多少深さのある箇所で助かりましたな。ヘタをすると腰や背中を岩に打ち付けてしまうトコロでありました・・・。
1㍍ほど冷たい水の中を泳ぎましたが、水流も弱かったのですぐに体制を整えることが出来、事なきを得たのでありましたな。
いやはや。
気を付けているつもりでも、このような事故は起こるのであります。
特に体力を消耗して注意力が落ちてくると足元もおぼつかなくなり、渓流においては危険以外の何物でもありません。
しかしまあ、全身ずぶ濡れとなってしまいましたな。
濡れてもある程度の保温性を保持してくれる、機能性アンダーウェアは重要であると思いました。
ワタクシをこんな目に合わせてくれた相手を確かめてやろうと、少し距離をとりつつ覗き込みます。
向こうも突然接触してきたこちらの正体を探ろうと、盛んに舌をチロチロさせておりましたな(写真に収めましたが超ピンボケでしたのでUP断念・・)。
蛇は個体差の大きい生物なので確信はありませんが、胴体の模様と首付近にあった暗赤色の模様の特徴から、どうやらヤマカガシではないかと・・
・・・って、思いっきり毒ヘビじゃん;;
危なかったですな。
マムシほど好戦的ではないとのことですが、もし噛まれれば毒性はマムシを上回るという話しです。
そんなヤツにこの山奥で噛まれたら・・・
ナニが縮みあがったのは水の冷たさのせいだけではありませんでしたな。
湿ってしまった煙草へ無理やり火を吸い付け、長めの休憩を取ったあとも懲りずに釣りあがりましたが、やはり小さな岩魚たちが群れて光るばかり。
流れを上へ下へ・・・何だかとても楽しそうに見えるのですな。
日に明るく透かされた透明な川の中で、ありありとその様子が見て取れます。
更に遡上すれば多少のサイズアップも望めたのかも知れません。
が、どうやら今日は小さな魚たちをいじめすぎてしまったようです。
急いでラインを巻き切りました。この渓へは、また来年以降に来ることにしますな。
きっと大きく育って、更に楽しませてくれるはずであります!
早めに切り上げてキャンプ場へ向かうことにしましたな。
明日釣ろうと考えている川の様子を見に行っておくことにしたのであります。
コメント
こんにちはSHIMAです。最近は、本格的な遠征釣行の連発ですね。
通常毒蛇は、前の方の牙に毒腺をもっていますが、ヤマカガシは上顎の奥にある牙に毒腺があります。奥の方の牙のため、噛まれると自らも中々離せない構造になっているらしく、その間にどんどん毒が注入されてしまうという特性があるらしいです。内臓出血、脳内出血や昔受けた全ての傷口が開き、出血するという止血不能に陥る毒性とのこと。小生が幼少のころは捕まえて遊んでいた記憶がありますが、当時は毒蛇とはされていませんでした。毒蛇と認定されたのはオイルショックの頃だったやに記憶しています。ハブやマムシ総じて毒蛇は、三角の頭部が特徴ですが、ヤマカガシはその定説から外れて四角ですからね。毒との勝負は、48時間が目安らしく、毒の強さはハブやマムシ以上に相当高いとの記述があったやに思います。血清は唯一群馬県の研究所にあるみたいですね。ただ、血清が効いて命を取り留めても生涯機能障害を残す可能性もあるようです。ヤマカガシは、地域による色の違いが結構あります。オレンジが混じったカラフルなものは関東では標準的な色になると思いますが、地方によっては黒い個体もあるみたいですよ。会津釣行の続編を楽しみにしています。では
SHIMA様こんにちわ。
そうなんですよね、ヤマカガシは確か噛まれた方が亡くなって、よくよく調べると毒を持っていた・・・と言う経緯のあった蛇だったと思います。
今調べてみると、死亡例が発生して毒蛇として報告されたのが1972年。
1982、84年にかけて3名の方が亡くなっているとのことなので、年代的に意識したのは80年代の報道だったのかと思っています。
二種の毒を持っていて、そのうち一つはヒキガエルを捕食することによって獲得するとか。何だかとんでもないヤツですw
WIKIに載っている画像を見て、やっぱりあれはヤマカガシであったと確信しました。
かなり長いこと観察して、竿先でつついたりしましたのでw
まあしかし本当に噛まれたらシャレにならないので、今後もよくよく気を付けなければなりませんね。
目つきはマムシと違ってクリクリしてて可愛いんですけどね・・・
SHIMAです。2種類の毒のうち、一方は牙ではなく、首の後ろ辺りから放出します。目に入ったりすると危ないので、参考までに。なお、ヤマカガシは、マムシやハブと違って攻撃性は低くよほど悪さをしない限り咬まないというのが小生の認識です。どの渓でもそうですが、目といえばメマトイに気を付けましょう。特に会津は多いという印象です。メマトイは人の目に飛び込んで、寄生虫を媒介するので、むしろこちらに多く注意した方が良いと思います。では