かねてより、行ってみたいとピックアップしていた鬼怒川本流へチャレンジしてきましたな。
川治ダムより上流の、栗山漁協管内であります。
毎度の如くヨタヨタでありましたが、次の予定も迫っておりますので、写真を中心に駆け足で参ります。
魚の写真はありません・・・。
できる限り脱線もナシの方向であります(今ホッとしましたネ?)。
鬼怒川と聞いて、諸兄はどんなイメージを持ってらっしゃいますかな?
ワタクシにとっては温泉と、鮭のようなイカツイ山女魚が釣れるイメージでありましたな。
昨今の世情もあり、シフト制勤務の我が社はここのところ”勝手に”年休を入れてくれるのであります。
勝手に組まれた連休を勝手に組みなおし、夢の大ヤマメを求めて出撃することにいたしました。
自身の体調に変化がないか気にかけつつ、出来る限り人と接しないようなプランで臨まねばなりません。
様々考慮したすえ現地ではコンビニにも立ち寄らず、初の車中泊をすることといたしました。
初めて訪れるフィールドを妄想しつつ、早朝のラジオを聴きながら都心を抜け出すドライブの時間がたまらなく好きであります。
キャンプ、釣行のための準備に前夜ギリギリまでかかり、ヘトヘトであったとしても。
この日、関東は30℃以上の真夏日の予報でありました。
夜勤中にストリートビューで徹底的に調べておいた入渓点までは、3時間弱で到着できましたな。
既に標高800m程なので涼しいだろうと思っていましたが、車から降りると湿度の高いムッとした空気に包まれておりました。
入漁証もオンライン手配、プリント済みで準備は万端。便利な世の中であります。
気がかりであった先行者も見当たらず、これまた初導入のウェット・ウェーディング装備を身に着けます。
いつものウェーダーと比べ、なんと涼しく軽快な事でしょう!
うははは・・w 今回はもらった!
根拠のない高揚感に包まれたのも、一瞬のことでありましたな。
ここでなんと、フロータント類を全て忘れてきたことに気が付いてしまったのであります!!
嫌な思い出が蘇り、一気に弱気になってしまいます。しかも今回は二日間の釣りなのであります。
ボックスの都合上、ウェットフライも限られた数しか持ち込んでおりませんし、この季節にドライフライを封印したのではフラストレーションがたまってしまいます。
ドライフライが沈んだら、コマメに新たなフライへ結び変え、水中系フライも総動員で事に当たるしかありませんでした。
今後、パックごとにフロータント類も固定装備にしなくてはダメだと決意いたしましたな・・・;;
予期せぬ大物に備え、#4タックルにティペットは6X以下にはしない・・・!
なんとか気を取り直し、入渓いたします。
くまなく日光に照らされる鬼怒川本流は、梅雨直前の高湿度も相まって汗が止まりません。
非常に厳しいのでありました。
入渓点より2時間ほど遡行するあいだに、2度ほど20㌢前半の岩魚をバラシてしまいましたな。
ココのところ、2と言う数字が連続しておりますが単なる偶然です。
やはりプレッシャーがあるのでしょうか、非常に疑い深そうな出方であります。
しかし、
魚はいるのであります!
半信半疑、疑心暗鬼の釣りを続けていると、千載一遇のチャンスを逃してしまうことにつながると思っておりますな。
「いるにはいるんだ。釣れないだけだ!」と集中を維持できることが、初フィールドでの釣りにおいてとても重要だと考えております。
瀬、頭、落ち込み、バブルライン、巻き返し・・・
虱潰しにキャストを続けながらも、できる限り広範囲をカバーするため1箇所は数投づつ。
フロータントの有り難みを噛みしめながら、広大と言える河原を歩き続けます。
日に炙られ岩に足元を脅かされ、さらに極度の集中で思わず口呼吸になってしまうことによって、すぐに喉がカラカラになってしまいます。
そうして遡ること更に数時間。
一尾もキャッチできないまま、「ココまで」と決めていた堰堤に着いてしまいましたな。
これが最終ポイントと、時間もかけ手を変え品を変え攻め続けましたが、魚たちはわが渾身のフライをチラとも見に来てくれないのであります・・・
参りました。
タイムアップであります。
大ヤマメなんぞ、ワタクシには夢の彼方という事でありますな。
完全敗北の丸坊主であります;;
大小の岩に埋め尽くされる河原を歩くのも、非常に体力を消耗しますな。
この日は往復で約8㌔強を歩きましたが、もうクタクタです。
数十キロのザックを背負い、山々を徘徊していた時は遠い昔となりました。
足首やひざが痛み、腰の筋肉が突っ張り、パックを背負いキャストを続けた上半身も限界であります。
比較的余裕があるのは、ロードバイクで鍛えた腿の筋肉群と心肺だけです。
フラついていよいよ足元が危なくなった頃、ようやく車へ辿り着くことが出来ました。
こうなっては、翌日の為にも温泉に入らなければならないのでありますな。
めったに湯船に浸からないOSSANですが、こんな日にそうしなければ、翌日身体が動かなくなってしまうこと必定であります。
翌日入渓予定の支流への道すがら、日帰り温泉へ立ち寄りました。
鄙びて小ぢんまりしたものです。
どこかしら夕刻の気配を含み始めた、山から吹きおろしてくる風の中で、完全貸し切りのアルカリ泉を堪能します。
日が長い季節にも感謝しつつ、「あ~・・・」とか「う~・・・」等と声を出してみると、色々なモノが心や身体から軛を解かれ霧散していくのを感じるようです。
それらは贅沢に溢れ続ける柔らかなお湯のみならず、谷を隔てて光る、山肌を覆う木々の葉一枚一枚の隙間や、遠く見え隠れする高圧電線を伝って、どこまでも遠ざかり薄まっていくのであります。
こんな己だけの得難い時が、少なくとも明日の昼までは約束されているのだと考えるだけで、通院を要するようになった血圧すら下降していくのをありありと感じます。
ゆっくりと痛む箇所を揉み解しながら、徐々にソウル・ドリンクへのモチベーションを高めていくのですな。
なかなか、オツなものなのであります。
当初、あるキャンプ場にお世話になろうと考えておりましたが、よくよく調べてみると週末しか営業していないようでありました。
数十年ぶりの林道キャンプか・・・!とも考えましたが、どうも気乗りしなかったのでありますな。
森の中より、色々な意味で林道は怖いです。
おかしな輩が来るかもわかりませんし、夜間は動物たちの通り道になっていることも多いのですな。
翌日の入渓点を確認した後、ほど近い駐車場で車中泊をしました。
ドアをロックしておけば、眠っているときに何かあっても状況把握~対処行動までの時間くらいは稼げるはずであります。
森の足元から夕闇が染み出し、辺りを満たしていく様子を眺めながらひたすら呆然とし続けます。
春ゼミの声が少なくなり、代わって様々な気配が混じり始めます。
広場の向こうの山肌から、「オゥ!・・・オゥ!・・・」と脅かすような耳慣れない声が聞こえていましたが、それが梟の鳴き声だと気が付くまでに長い推理が必要でした。
ガスランタンに火を入れ、誘われてくる小さな蜻蛉をしげしげ眺めます。
フライフィッシングを始めなかったら、興味を惹かれることもなかった地味で、美しい羽虫ですな。
蚊遣りを焚いて追い払ってしまうには惜しいので、肌の露出部にだけ虫よけスプレーを吹きました。
夜気の為レインウェアを着込んだところで、ようやく夕食の準備に取り掛かります。
とは言っても、前日に近所のスーパーで買ってきた総菜をツマミとして並べただけですな。
キャンプ飯を作るだけの体力は残っておりません。
今回は敢えて、ビールを350mm缶で4本しか持ってきませんでしたし、強い酒もナシにしたのであります。
翌日の釣行に支障を来たさないためでありますな。我ながらストイックです。
しかし、待ちに待って開けた
ビールが常温になっていた・・・
時の悲哀と言いますか、絶望感と言いますか。
コレをどう表現したらよいのでしょう?
クーラーバッグに投入した保冷材のサイズが小さすぎたのですな。
もう色々と、今回はダメダメであります。
昼間の反省や次回の課題の点検、季節進行への焦燥感と翌日への期待と決意・・・
多すぎる星々のなかで唯一わかる北斗七星をキッと睨みつけ、そのヌルいビールを煽り続けるOSSANなのでありました。
〜やっぱり二部に分けます〜
コメント
尾も白いです。
否、面白すぎます。乞うご期待のレポになりそうです。
国道121号線は、40年以上昔、若きワタチがCB550で会津に何度も帰った道であります。
立川市からは遠かったです。
逆転劇もあるのか不明ですが、当方は近所の川で32センチ岩魚釣りました。
FFfreak様、今晩わ。
32㌢ですか!? それが近所の川とは、何とも羨ましいです。
我が近所の川でもメーター級の何かしらを狙えるようですが、今はひたすら淡水、しかも清冽な水に棲む小さなマス類が良いです。
川に近づくといろんな臭いがしてくるのですから、タマりません;;
徐々に日常が戻りつつあり、圧縮されたスケジュールを何とかうまくこなすために奮闘中であります。