俄かに職場が慌ただしくなり、いくつも計画していた釣行を諦めざるを得ない状況となっているこの頃であります。
アソコへ行こう、ここも行こう・・・予算配分に呻吟しつつも、まだ見ぬフィールドと渓魚たちへ思いを馳せていた時が懐かしく感じます。
そんな中でムリヤリに連休を調整し、会津方面へキャンプ&釣行へ行ってまいりましたな。
昨年11月以来で放ったらかしにしていたソロキャンプの道具を準備します。
定期的に使っていれば良いのでしょうが、何をどれだけ用意すれば事足りるのかを忘れてしまっていますな。
徐々に快適装備(なくてもどうにかなる物たち)も増えつつありますが、バーナーやランタンなどはトレッキングをしていた頃のものなので、小さめのコンテナ・ボックスに収まるだけの小道具でソロキャンプには十分であります。
しっかりした高さのある椅子と、雨や日差しから守ってくれるタープだけは必需品と言える大物でありますな。
フライフィッシングのためのウェーダーやシューズ、更にクーラーボックスなどが加わると、マンションの駐車場まで運び出すのも一苦労であります。
途中のコンビニで三日間分の遊漁券を手に入れ、睡眠不足でボーっとした意識レベルのまま南会津のTV川へ到着してしまいましたな。
この川は南会津でも屈指の美溪とされ、大人気の有名河川とのことでずっと気になっていたのであります。
OSSANも近頃はむやみに釣果ばかりを追わず、美しい景観に抱かれつつ限られた休日を優雅に過ごすことに主眼を置くようになりました。
その心境こそが、1アングラーとして絶大なる成長を遂げた・・という証左なのであります。
・・・・
すいません、ノッケから嘘を申しました。
やっぱり釣れた方が嬉しいです;;
有名河川であるわりには細かな情報を得られず(ちゃんと調べなかったくせに)、入渓ポイントも当てずっぽうで来てしまいましたな。
「これ以上は4駆でないと厳しそうだな~」というスペースに先行者の車があり、引き返しつつ渓へ降りられそうな場所を探します。
それにしても、久しぶりの森の中での釣りですな。
その活力でミチミチと音を立てているのではないかとさえ思える木々の梢を透過した梅雨前の陽光と、鳥たちの鳴き交わす声が林道に降り注いでいます。
こんなフィールドへ身を置くたび、フライフィッシングを始めて良かったなぁとつくづく感じてしまうのでありますな。
相当歩いても適当な踏み跡が見つからず、「此処ならどうにかなりそうかな・・」と言う適当な斜面へ突入します。
しかし一寸運動をサボりすぎたようですよ。体重の激増もあって、渓へのアプローチで身体が重い重い・・・
各関節の柔軟性や上半身の筋力も落ちており、傾斜のキツイ山肌にへばり付くのにもフルパワーの踏ん張りが必要でありました。
いきなり進退極まるか・・・!と思いましたが、何とか木の根や岩に齧り付き、盛大にズリ落ちつつも渓へ降り立つことができましたな。
すでにアチコチ泥だらけであります。
6ピースロッドの2本体制で両手を空けておけるようにしたのは、このようなキビシイ場所で事故を防ぐためでありますな。
怪我をしていないかチェックしつつ、ゼェゼェ言いながらタックルをセットします。
いざロッドを振り始めようと辺りを眺めると、なるほど美溪と呼ばれるのも合点がいきました。
水の透明度は噂に違わず、水底までクッキリと見えてしまいます。そしてソコここには良さそうな深みや岩も点在しています。
日が川面に輝き、気まぐれに吹く風が早くも汗ばんだ全身に爽快であります。
飛び交う蜻蛉達に合わせてチョイスした#16ライトケイヒルが、ちょっと出来過ぎと思える風情でその中を流れます。
この段になってようやく、
「ああ、やっと来られたなぁ・・・」
と実感が追いついてまいりました。
雪深い南会津の渓はこの瞬間、何処もかしこもが美しく輝いて、どんな心配もないようでありました。
夢中になってフライを投じ続け、遡り続けて3時間以上が過ぎましたな。
ここまで来てまさか「喰らう」という事もないだろう・・とタカを括っておりましたが、いやコレが厳しいのなんの。
時期的にも絶好と思えたこの初日、ウンともスンとも言わないのであります;;
足元から走る魚影すらないのでありますよ。
オカシイですな。こんな筈はないのであります。
この日のために、人を人とも思わぬ勤務スケジュールと二ヶ月もの間戦ってきたのであります。
「なんでこんなタイミングで!?」と声には出されずとも、この連休は相当の恨みも買っていることでありましょう。
しかし何かあったら回らなくなる職場の人員配置なんぞ私が決めたことではありません!
未だかつて「満足な釣果に恵まれたことなど無い」と言う事実などすっかり忘れ、支離滅裂な焦燥感に炙られつつ根拠のないフライチェンジを繰り返します。
初日はサクッと数尾を釣り、深追いせずに上がるつもりでありました。しかしそれどころでは無い展開となってしまいましたな。
キャンプ場への移動&設営等も考えると、14時には脱溪しなければなりません。
見通しが甘いと言えばそれまででありますが、ここまで来て「時間に追われる釣り」となってしまいました。
日常の疲労感が残りつつ、寝不足での遡行。
数時間しか行動していないにも関わらず、「釣れない」と言う事実が追い討ちをかけて全身ガタガタなのであります。
「オネガイ、一尾だけでも釣れて・・・」
もう優雅なフライフィッシングなどと、とても言えない心境でありましたな。
それとなく脱溪ポイントを探しながら遡ってきましたが、良さそうなルートは発見できませんでした。
ずっと急斜面を横目に進んできたので、どこから取りついてもヒドイ目に合うことは変わらないと覚悟するしかありませんでしたな。
そんな中を林道へ這いあがる最後のチカラと、キャンプ設営の体力だけは残しておかねばならないのであります。
「仕方ねぇなぁ、どんだけ下手なんだろワシ;;」
もう残りの日程の幸運に賭けるしかないと諦めましたな・・・
アダムス・パラシュートがようやく水面で弾けてくれたのは、まさに最後の数流しとカウントダウンをしているその時でありました。
追い求め待ち続けた水中の閃きに、どれだけ心臓が高鳴るものか。
これは険しい山肌の登り降りや、ロードワークでの心拍上昇とも異なるものです。
嫌な脂汗や視野狭窄と共にあるアノ感覚とも、決して同様ではないのであります。
つい反射的にロッドを煽ってしまいましたが、フッキングが決まった時の「ビイィーン!」という、重量感と緊張感のある心地よい手応えが返ってきました。
大丈夫です。この手ごたえがあった時はバラしたことはありませんな。
そうは思いつつも、もうタイムアップなのであります。
これをバラしてしまうと悲痛な連休のスタートが確定するのであります。
「頼むよ!頼むよ・・・」
焦がれ続けたと言っても過言でない愛しい渓魚の手応えを感じつつ、何者かに祈っておりましたな。
慎重なやりとりの末にネットへ収まったのは、中々にカッコいい27センチの岩魚でありました。
何という充実感のある魚でありましょう。何と言う(個人的に)貴重な魚なのでありましょうか・・・!
輝きながら横たわっていた姿が、飛沫を浴びせながら流れに駆け込んでいく様を見送って、やっとこのTV川は私のものになりました。
二度と会うことは叶わないでしょうが
「またな。ありがとう。」
と声をかけずにいられないのであります。
さて。
久々のキャンプサイトを作るのに時間を要するのは目に見えておりますな。
急いで車へ戻らねばなりません!
コメント
よかったですねー。9寸は今年まだ釣っていない良型です。うらやましいです。
懐かしい感じがします。
昭和53年ころから数年はT岩村、M沢は、立川からよく行った花崗岩の川でした。ルアーでしたが1匹つれれば文句なしと思ってました。
桧枝岐川にフライマンがいて、夕方のライズフィッシングで簡単そうに釣ってタマゲマシタ。
続きが楽しみです
FFfreak様、おはようございます。
記憶に残る一日と一尾を得られればと思っていますが、フィールドに立てば型も数も見たい・・・我ながらあさましいものです。
まだまだ修行は続くのですね。
自身にとって会津は、日帰りに遠く遠征と呼ぶには近い微妙な距離感と感じています。
家並みやバリエーション豊かな渓の雰囲気がとても気に入っており、今後も探求していきたいエリアと考えております。
でも、この釣行に感動的などんでん返しはございませんことをお断りしておきます^^;
あらかじめ。