ヘイ マスター、Hardy Fetherweightをお代わりだ!(初めてUSEDリールを手に入れること)

最初はホンの出来心と申しましょうか・・・初めてのUSEDリールを手にしてしまいましたな。

長〜い歴史を誇るHardyのリール。

現有しているフェザーウェイト(K製)と、古いタイプの Feather weight(E製)で、ナニがどのように異なっているものか。

気になり始めると止まれなくなってしまうのは悪い性質(タチ)であります。

ハーディのライトウェイトシリーズは、改めて言うまでもない傑作リールの一つとされております。

ワタクシもフェザーウェイトを実際に使ってみて、然もありなんと思いますな。

とにかくシンプル&軽量で、扱いに神経を使わなくて済みます。もし壊れても自分で直せそうです(無理なんですがw)。

恐らく自身の無意識領域に刷り込まれたイメージがそうさせるのだと思いますが、ロッドにセットした時の光景がとても自然に映ります。

眺めていると安心感のあるデザインなのですな。

ちっちゃいなぁw

ライトウェイト・レンジをザックリ把握してみますと、小さなサイズから

  • ライトウェイト  (2-1/2”・76g)
  • フェザーウェイト (2-7/8”・97g)
  • LRHライトウェイト(3-3/16”・104g)
  • プリンセス    (3-1/2”・111g)

と、ダブルテーパー・ラインで#2〜#6をカバーできる4種がラインナップされておりますが、昨今店頭では見かけなくなりました。

スタンダード・アーバーリールであることに留意すれば、日本の渓流域におけるフライフィッシングは全てこなせるカンジですな。

以下はディスコンとなっているモデルを参考まで。

  • St.Aidan               (3-3/4”・191g)
  • St.Andrew            (4-1/8”・261g)
  • ZENITH                (3-3/8”wide spool・195g)
  • HUSKY                (3-3/8”wide spool・サイレントチェック・223g)

(‘22年1月現在、本国のサイトではHardy社150周年モデルとして、Liteweight〜St.Andrewまでが確認できます。日本は蚊帳の外ですかそうですか;;)

この辺りになるとスチールヘッドやサーモンを相手にするサイズですので、今の所ワタクシには縁がありません。

過去にはマルチプライヤー・タイプ(巻き上げ速度UPのギア付き)なども存在し、アングラーのニーズに応えようと素晴らしい広がりを見せたシリーズなのですな。

アジャスタブルチェック。 だいぶ勉強しましたw (初出時、「デュプリケイト〜」としましたが、間違いのようですm(__)m)

ハーディ・サウンドの心臓部であるところのチェック(クリック機構)。

当初はMk2チェックという、パーフェクト等でも採用されている左右切り替え不可のものだったようです。

しかしワタクシは、フライリールに関しても「左巻き」を貫く所存であります。

現行と同様のアジャスタブル・チェックか、左巻きのもので出来るだけ古いものを「それとなく」探しておったのでありますな。

悶々とフライを撒き溜めていたある日の休憩中に、ちょうど良さげなソレが売りに出されているのを見つけてしまいました。

「見つけたら買う」とは決めておりましたが、何しろ物がモノだけにリスキーであります。

WEB上で見てもボロボロなそのリールが、いざ届いてみたら「使えないほどにボロボロ」であっても困るのであります。

もしそうだったら、完全に壊すことを覚悟で分解・修理する覚悟を決めてポチるまで、ある程度の時間を要しましたな・・・

左がまだ「右巻き」状態のThe Feather weightですな。

結局は付属していたはずのポーチも何も失った、かなり気合の入った使用感のあるフェザーウェイトがやって来ましたな。

正直、封を開けた時は「失敗したかな〜・・」と思いました。 予想を越えたボロボロ具合でありましたからw

あちこちを当たってこのリールの製造年を割り出してみると

  • 刻印なしの「ヘビーUシェイプ・ラインガード」
  • トリガーラッチ
  • アジャスタブルチェック
  • アルミ・スムースフット
  • 筆記体ロゴの在り方

などの特徴から、1970年代初期のものであるようです。

なんと、OSSANと同期なのでありますな。

むむむ・・・!

これは何やら、運命のようなものを感じてしまうではありませんか。

恐る恐るハンドルを回してみますが、摩耗で痩せてしまったノブに大きなガタがある以外に問題はなく、あの賑やかな音も健在でありました。

その音が、再び釣りに使われそうだという歓喜の雄叫びのように感じた・・と言えば大袈裟でありましょうか?

「・・・わかるよ、お前もこれまで色々なことがあったんだろ? たくさんの良い魚と渡り合ったんだろうな。いろんな目に遭ってこうして傷ついて、すり減ってしまったんだろう。

大体オレもそうだよ。 見ろ、このだらしなく迫り出す腹。濁って澱む目、軋む腰や痺れる腕、萎え切った足腰・・・

お前はフライフィッシングのために生まれ、それ以外は考えもせず、その機能を尚失っていないんだな。純粋なままだな。シンプルに尊敬するよ。

前の主人の釣りは上手かったか? どんなスタイルの釣りだった? きっと俺より多くの魚と巡り合ってきたんだろうな。

こうして俺んトコに来たのも何かの縁だ。残ったお前の寿命と、残った俺の釣り人生を重ねてみるってのはどうだ?

手入れはしてやるからさ、もう少しだけフィールドで遊ぶ手助けをしてくれよ。

あ、でも先にリタイヤすることは許さん。そんなことになったら何としても延命するから、ソコは覚悟してくれ。 俺は寂しいのは嫌いなんだ。」

ブツブツと身勝手なストーリーを呟いて、昼下がりの自室で完全にアブナイ人となっているのも、昨今のフラストレーションが故ですな。

現有フェザーウェイトと見比べてみます。

  • スプール穴の大きさが大きい
  • 穴はスプールの片方のみ
  • スプール内傾斜が緩い
  • ハウジングが薄い
  • ハンドルノブシャフトはカシメ固定
  • フットの固定もカシメ。角は滑らかな処理。ボディ接合部の形状も異なる
  • スプールとメインギアの固定法が違う
  • 板バネの曲げ方がなで肩
  • ハウジングの色味が濃く、字体、大きさ、文言も異なる
  • ラインガードが大きく二本ネジ固定
  • ドラグ調整ネジは真鍮製?

あたりが気付く違いでしょうか。

オールドの方はカシメ構造が多いので、現行品はメンテナンス性が向上していると言えますな。

フレームやスプールの耐久性(外部からのインパクトに対する)でも現行品の方が丈夫そうです。

遠見ではほとんど気づかない事ばかりですが、かなりの部分で違う造りであります。

現行品はモデルネームと「HARDY」のみ。少々寂しすぎやありませんか?

現行品はバーストック削り出し製法で、昔の英国製は鋳造ですな。

サイズ感が全く同じなのでスプールを入れ替えてみましたが、ピッタリと収まりはしてもラチェットの違いで固定できませんでした。(惜しいw)

アジャスタブル・チェックを左巻きに切り替えます。と言っても、 ギアに作用する爪を変えるだけですな。

固着してなくてよかった・・・このラインガードの特徴で大凡の年代がわかります。

ラインガードの向きを変えれば完了です。素晴らしいミニマリズム・・・

調整(ドラグ強度)ネジが前後逆になってしまいますが、釣行中にいじった覚えも無く、気にしたこともありません。

大体の違いを把握できました。

満足したので掃除します。

パーツクリーナーのストックは沢山ありますぞ! 黒鉛塗装のリールにはやらないほうが良いと思われます・・・

まずお得意の自転車用パーツクリーナーで古いグリスを洗い流し・・・

いまさらだからネ。大丈夫だろう、多分・・・

やっぱり煮ますw

熱湯風呂で根性を再注入し、スッキリした後は綿棒で細部クリーニングしてやります。

チェック各部に、これまたお決まりのデュラエース・グリスでグリスUP。

リール表面が全体的に脆くなっている気がして、手についたグリスを薄〜く満遍なく馴染ませておきました。

細かいところにはラスペネ。浸透力はハンパないですぞ。

ラチェットをバラすのはちょっと怖いので(戻せなくなるかも;;)ラスペネを吹いておきます。

ボディとスプールを別に保持して揺すってみると微かなガタを感じますな。

メインシャフトかスプール側か、はたまた双方なのかわかりませんが、ここも摩耗しているようであります。

前述のハンドルノブのガタの方が大きすぎて気にならない程度ですが、シャフトとスプール穴に多すぎるくらいのグリスを塗っておきます。

スプールに微妙な歪みが見られますが、回転には影響のない程度です。

目下、摩耗したハンドルノブがどこまで持ち堪えてくれるかが一番の気掛かりですな。

まあしかし、このフェザーウェイトだけをハードに使い倒すでもなし、しばらくの間はあまり気にしなくても大丈夫そうであります。

その辺に転がっていた「とっておきの巾着袋」をリールポーチとします。

これでOKですな。

ハーディ・サウンドも滑らかに鳴り響き、問題なく働いてくれそうであります。

どのライン、どのロッドと組み合わせてみましょうか。

どこでリスタートさせてやりましょうかな?

新品リールとはまた違った、少々説明し難い高揚を覚えているワタクシなのであります。