誰にも頼まれておりませんが、VRデザイン トラッタ・パーフェッタというリールを紹介します。

欧州では雷鳥やウズラ。アフリカからフラミンゴやホロホロ鳥。インドからは孔雀や美しい野鶏たち。金&銀鶏は中国の南部から?

さらには兎、鹿、オットセイや北極熊に至るまで・・・フライフィッシャー達の想像力は、一本の毛鉤を仕立てる為に鳥の羽や獣毛を追い求め、どれだけ世界を巡って来たのでありましょう。

養殖技術や物流網も、現代ほどには発達していなかったその昔、それらの希少性は現代とは比べ物にならないモノだったのでしょうな・・・

そんなこんなに想いを馳せて呆然としていた数年前、ウクライナから一台のフライ・リールがやってきました。

2 3/4”モデルも欲しいw

VR Design Trutta perfetta(トラッタ パーフェッタ3in)

というリールです。

試みに我が家からウクライナ首都のキーウまで、Googleマップで徒歩ルートを引いてみると約11000キロ。

歩いて行くならば90日ほどもかかると表示される(海は泳ぐのでしょうかw)、遥か遠国でありますな。

旧ソ連邦崩壊によって独立したものの、今正に苦難の渦中にある東欧の大国であります。

ウクライナ(Украї́на / Ukraine / 宇克蘭)血で綴られてきた欧の歴史は、現代において上書きされています。

世界的に有名な工業都市ハルキウで、ウラジミール・ラチェンコ(VR)さんという傑出したエンジニアが興したメーカーということであります。

HardyでMarksman等をデザインした人物と言えば、ピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんな。

そのハーディのフェザーウェイトより重く、且つ150g以下で#4〜5タックルに使うためのクリックドラグ・リール・・という条件のリールを探しておりまして。

様々な候補に迷いつつも、好みなデザインに惹かれて注文したのでありましたな。

一見「つるん」とした印象ですが、中々の造り込みを実感できるリールですな。

3インチの(ほぼ)ノーマル・アーバーですので、#4〜#6ラインが適合するリールでしょう。スプール幅は23ミリ。ナローでもワイドでもない微妙なトコロ。

日本での輸入代理店はHeritage Clubさんであります。当時は在庫なしの状況で注文したので、到着までは9ヶ月を待つ事になりましたな。(現在は各取扱店に在庫があるようです)

ブラスの金色とアルマイトの銀色のコントラストが上品です。シンプルかつエレガント。クラシックなのに何処かしらモダン・・・

個人的に大事なポイントであるハンドルノブは、これまたノスタルジックなアイボリン製で100点であります。

工具なしでスプールを取り外すことができるリールも多いですが、コレは六角レンチが必要でありますな。

アシンメトリカル・ポウル・システムというチェック機構をチェックしてみたかったので、スプールを外してみましたが・・・

出荷時のグリスは微量でありました。お決まりの自転車用グリスをヌリヌリ・・・

一般的な三角形の爪を、プレートでカバーしているタイプのもののようですな。そのプレートカバーは精密ネジでハウジングへ固定されております。

内部構造は想像できたので今回は外さずにおきましたが、清掃ついでにグリスを打ち直しておきました。

正転・逆転共に「コンコンコン・・」という、丸みを帯びて微かな反響音を伴った心地よいクリック音。

チェック・ドラグの効きはハーディと比較すると弱めですが、正転・逆転時の抵抗感の違いはハッキリ感じられます。

パーミングを要する魚には滅多に出会えませんが;;

スプールのリムにはスムースな手触りのグルービング。

外周部へ一列だけ設けられたポートは、フライラインの水切れや乾燥促進等の実用性には貢献しなさそうであります。

傷の一つ一つに想い出も刻まれていくのであります。

でもワタクシ、このあたりのデザインとバランスが気に入ったのでありました。

ハウジングの裏面にはトラウトの意匠が施されており、ホッコリさせてくれる部分でありますナ。

革製ポーチには型押しが施されております。内部梱包のビニール袋にシリアルナンバーが手書きされていたのを発見したときはナニゴトかと思いましたなw

付属のレザー製巾着型ポーチは、質感の良いドッシリとしたものです。クラシックでオシャレと思いますが、これはまぁチョット使いにくいです^^;

FF人生の最初期は、軽量であることを重視してフライ・リールを選んでおりましたな。

近頃は様々なロッドを試すようになっており、リールの重量(ダケじゃ無いんだけど・・)で気持ちの良いバランスを探るようになりました。

頂き物のWinston IM6 #5ロッドとset up。ハコスチ・レッドバンドは、まぁ〜止まりませんでしたなw

お互いに年季が入ってボロくなる頃には、ロッドや他のリールたちと共に、孤独の刻を慰めてくれるでしょうか?

きっとそうなると予感できるフライ・リールですな。

ラチェンコ氏は辛くも戦火から逃れ、国外で事業を継続されておるそうです。一刻も早く戦いが終結し、故郷へ戻れることを祈っております。

イヤハヤしかし。

我が物欲もいよいよ世界を巡るようになってまいりましたな・・・

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