ラバーソールでウェーディングしたい! SIMMSヘッドウォーター・Boaというブーツを追加してみること。

渓流をフィールドとする諸兄の足元は、どのような設えとなっておりますでしょうか?

ウェーディング・シューズ、長靴、脚絆足袋に草鞋、まさかの素足・・・それぞれに一家言あるものと愚察いたします。

実はこの半年ほどを迷っておりました。その、渓流における脚拵えのことであります 。

色々と考えた末、今季はウェーディング・ブーツを買い増すことにしたのでありますな。

4年前に手に入れたFoxfire・コンターライン・ウェーディングシューズは、ラバー製トゥーカップ(?)の屈曲される部分にひび割れが発生してきました。

フェルト部とミッドソール部にも隙間が空いて来ましたな。

まだまだイケます。

いきなり釣行中に剥がれる・・・ということは無いでしょうが、要観察状況にはなってきたようであります。

フェルトもすり減ってきましたが、まだまだ現役を続けられる状態でありますな。

1シーズンでシューズを履き潰される方々も多いと聞きますので、いかに我が釣行回数が少ないか・・という証左でもあるのですが;;

であるにも関わらず、なぜに高価でもあるシューズを買い増そうと考えたのか?というところを先ず書いていきます。

何も考えずザバザバと川を遡っていた初期と比べると、近頃はできる限り水中に立ち込まずに済むよう、ルートとキャストポジションを考えつつ歩くようになりました。

魚に気づかれるのを避けるのはもちろん、偏光グラスをしているとは言え、よく見えていない水中で歩を進めるというリスクに気が付き始めたからでありますな。

何の気なしに足を置いた水中の岩が思ったより滑りやすく、ズルっといってあわや・・・!

という、股関節的危機に見舞われたことも一度二度ではなくなりました。

ヘタをすればそのまま足首なんぞを捻ってしまい、怪我をしてしまっていたかも知れないのでありますな。

これからも単独釣行の多いであろうワタクシにとって、見過ごして良いアクシデントとは言えないと思うようになってきたのであります。

養沢の初春。釣れませんでした・・・。

そうして気を付けつつ釣行を続けていると、水中に立ち込んでいる時間は、実はそれほど長くないのだナ・・・とも気が付きました。

もちろんフィールドのタイプにも依るのでしょうが、水から上がっている時間のほうが圧倒的に長いのでありますな。

水に入らないと、疲労感も大幅に軽減されるようであります。

さらに、水中ではあれほど心強かったフェルトソールの弱点気になってきてしまったのでありますな。

フェルトソールは一定の条件では素晴らしい性能を発揮しますが、

  • 水や砂を含んで重くなります。
  • 砂を拾うとグリップ力はガタ落ちです。
  • 山の斜面など(当然道ではない、入退渓場所等)では、必ず滑るので怖いです。
  • 岩のエッジに乗る必要がある場合なども思ったほどグリップしませんし、大抵そういう場所は落ちたら水中です。
  • 傾斜のある木道等も漫然とは歩けません。
  • 林道などの長時間歩行も、思ったより歩きやすくないので疲れます。
  • しかもすり減るのが早いです。

概ね以上のような不満を持つようになりました。殆どが水中以外での問題点なのであります。

靴底の接地面積を稼げる平滑な水中に、ヌメリを帯びた藻や苔等が付着している場所・・・等という条件では、その強みを発揮できるのですな。

できる限り水中に立ち込まない

と決めてみると、そのような限定的箇所を避けることも可能な気がしてきました(ちゃんと丁寧にルートファインディングすれば)。

しかもOSSANはそういうヌルヌル・ヌメヌメした場所は、(フィールドにおいては)どちらかと言うと嫌いです。

今後はなるべく、清冽な流れを目指していきたいと思っているのであります。

であれば、水を含まず軽量で、落ち葉等が堆積した斜面でもグリップを稼げ、舗装された林道等で体力を奪われず歩行性も比較的快適であろう、

ラバー・ソールのウェーディングシューズ

が俄然クローズアップされて来たのでありますな。

という事で、色々と調べた末SIMMS(シムス)というメーカーの

ワークブーツと言うより、タクティカルブーツの印象に近いのかな?

HEADWATERS BOA BOOT

というブーツを選びました。

初のウェーディングシューズを購入した時よりは、未だ満足に増えない経験と想像力を動員し、相当慎重に吟味したつもりなのであります。

他メーカー製シューズとの比較検討。

方々のショップへ出かけ、候補となるシューズを弄り倒しましたな。

サワークライマー。リールアジャストタイプもあります。運動性能に特化したクライム用ですな。画像はモンベルオンラインストア〜

最も「ああ、コレは滑りにくそうだ」と感じたのは、実はモンベルのサワークライマーと言うシューズのアクア・グリッパーソールでした。

しかしソール全体が少々薄めでありましたな。

長距離歩行時のクッション性が不足しそうなのと、ブロック高も低くて土、草付き斜面等でのグリップが不安・・・と感じたのです。

これは源流域の岩上を跳ぶように、身軽に行動できるスキルや体力が備わった方のモノだと感じましたな。

でも軽くて良さそうなんだよなぁ・・・。

リトルプレゼンツの、ミッドストリームWDシューズ Ⅱというものも好感触でありましたな。

何より比較的安価で素晴らしいです。

これもビブラム・イドログリップを使用したオリジナルパターン・ソールでありました。通販サイトでの評価も概ね好評のようであります。

しかしそのブロックパターンは柔らかく大き目で、岩のエッジでへつる(そんな事しないで済む方が良いんですが・・・)には踏ん張りが効かなさそうですし、摩耗も早そうな印象を持ちましたな。

画像は日本取り扱い元のTIEMCOさんから。日本のamazonでは並行品しかなく、高額なので注意です。スタッズも打てるようですが情報不足ですな。

Orvis&ミシュランコラボのウェーディング・シューズは残念ながら触れる機会がありませんでした。

が、車や自転車用タイヤのコンパウンド研究で蓄積された技術は相当なモノでしょうし、実はすごく気になっています。

見た目も好みですな。

KORKERS(ショップで弄ったのはデビルス・キャニオンというモデルでした)は、フィールドの状況によってソールをフェルト⇔ラバーと交換できるシステムにとてもソソられました。

持ってみると見た目によらず軽量で「コレだ!」と思ったのでありますが、付属のラバーソールはプラスチックのような硬質感で、グリップするシチュエーションが想像できませんでした。

まるでサッカー用シューズのスパイクのようでしたな。

更にショップの方に聞くと、ソールの部品を引っ掛けている、踵にある爪が折れたらアウト(修理不能)なのだそうであります。

明らかに出っ張っている構造だし、岩等に強く干渉しがちな場所なのにソレは・・・;;

しかし、ブーツ全体の造り&別売りオプションのビブラム+スタッズソールの感触は(高いケド)良かったことは申し添えておきます。

踵部品の心配がなかったら、コッチにしていたかも知れないです。

そしてSIMMSなんですが、困ったことにモデルごとにソールの感触が全く違ったのであります。

輸入元マーベリックさんから。比較的軽いし、このフライウェイトはソールの水抜き穴も良いと思ったんですがネ・・・。

当初、一番の候補モデルとしていたフライウェイト・ウェーディングブーツは、ソール全体に硬質で、フリクションが弱く感じましたな。

ブロック高も比較的低め&密なデザインで、泥詰まりしそうな予感もします。

指先に感じるフリクションの強さ順で言うと、

TRIBUTARY(非ビブラム)>G4プロ≒G3ガイド≧HEADWATER>FLYWEIGHT

という感じ。(あくまでもOSSANの指先に感じた摩擦力の多少の感覚ですが、間違いなく差がありましたな。)

ショップの方の言うには、同モデルでも年ごとに感触が違っているとか。

ラバーソール・ウェーディングシューズと言うものが、まだまだ試行錯誤の黎明期であるという事でありましょうか。

ヘッドウォーターのソールは、アクアグリッパーやリトルプレゼンツのビブラム程のネットリ感は無いのですが、そこそこのグリップを発揮してくれそうな感触と耐摩耗性を兼ね備えているように感じました。

そして他社ライバルに無い特徴として、しっかりと

純正のクリーツ(金属製の滑り止め)を取り付けられる設計がされている。

という事がありますな。

いくら最新のコンパウンド設計がされたソールであるとはいえ、すべての環境に対応できるとは最初から思っておりませんです。

いくら避けようと思っても、行く手にヌルの付着した、傾斜のある滑床岩盤河床が10数メートルにもわたって行く手に広がっている・・・という状況は、わりと簡単に想像できるシチュエーションのような気がします。

それはフェルトソールでも緊張する状況ですな。ラバーソールのみでは絶対コケる自信があります。

電動ドライバーは持っていないので、ショップで付けてもらいましたな。クリートの価格は1個あたり¥410・・・たけぇっス;;;

タングステン・カーバイド製の”ハードバイト・スタークリーツ”というモノを付けてもらいました。

このソールは張替えが出来ない(以前は対応していたそうですが、割が合わなかったんでしょうか?残念・・・)ということなので、摩耗を少しでも遅らせる必要もあります。

アルミ製のクリーツもラインUPされておりますが、グリップは強い代わりに減りが早く、変形が進むと脱落しやすくなるとのこと。

ここは耐久性重視といたします。

正直フィールドに与えるインパクト等を考えると、あまりスパイク的なものを使いたくないのですな。

しかし人里離れた場所でもし、クリティカルなアクシデントに見舞われたら、各方面にとんでもない迷惑をかけてしまうことになる・・・かも知れないのです。

可能な限り、リスクは小さくしておかなければなりません。

現時点でラバー・ソールのウェーディングシューズに、これらは必要なのだと考えておりますな。

ステンレスワイヤーのBOAレーシングシステム

「じゃあ、グリップの良いトリビュータリーにすれば良いじゃん。クリーツも付けられるし、何よりお安い!」

という考えを打ち破るのが、このBoaレーシングシステムでありますな。

ウンウン唸りながら、両手で靴紐を結ぶ必要がなくなるのであります。腹囲膨張と肉体的柔軟性の低下に悩む昨今、これは大助かりであります。

テンションの開放はboaのリールを引っ張ることで一発です。

ヘロヘロな釣行終了時など、とても楽になるのが想像出来ますな。

フィジークは樹脂のレースですな。だいぶ草臥れてきましたが、気に入っております。

ロードバイクのシューズではいち早くこのシステムの恩恵を受けており走行中ですら締め付け具合を調整できるその利便性を大変気に入っております。

使用中に多少緩んでくるのは織り込み済みで、締め上げるのはカリカリっと・・・とにかくメンドくさくないです。

このBoaリールのラッチが、ロード用シューズのFizikに比べるとかなり細かく作られておりますな。

心配性なのでBoaのスペアパーツも確保しておきます。必要になるまで開封しないと思います。

締め上げるには結構な回数を回すことになりますが、代わりに好みのフィット感が得やすいです。

ただ、足の甲の先端部分だけ締めたり緩めたり・・・というような微調整は出来ません。

ブーツ自体と自分の足型が合っているか、その締め付け具合が自分の好みに合うか・・・は試し履きしてみないと分からないことです。

やはり靴を購入するということは、中々難しいことでありますな。

ウォータープルーフ・レザーアッパーとブーツ形状

Boaレース・システム&ヌバック調アッパー&ネオプレン・ライニングが相まって、足全体をふんわり&ガッチリ包んでくれます。

使われているのは細いステンレス・ワイヤーですので、タン部にも厚みが必要だったのでしょう。

かなりの差があります。ソールの厚さもまるで違いますな。疲労軽減に貢献してくれるものと期待しています。

foxfireコンターラインでは、踝のサポート能力は限定的であります。

そのネーミングからも推察できるように、ある程度の標高を持つ山岳渓流での運動性を確保するための設計でありましょう。

水中での立ち込み時や、傾斜のある場所で姿勢を維持し踏ん張るためには、足首には結構な力が必要です(これ、伝わりますかな?)。

一日の釣りを終えると、なんとも言えない疲労感がそこに蓄積していることを感じていたのでありますな。

各人の歩き方や好み、身体能力等に大きく左右されることだと思いますが、OSSANは踝のサポート力は強めの靴が好みです。

運動性能と言う部分では浅めのカット、柔軟・軽量なものが有利ですな。

しかし とっさの危機回避反射的動作や、まして軽快に岩から岩への跳躍などという事は、火事場のクソヂカラ的なモノを奮い立たせないと出来ないトシなのであります。

OSSANとしては、そのような事が必要にならないよう気を付けつつ、腹に力を入れてひたすらヨタヨタ・ジワジワと遡るのみなのでありますな・・・。

万が一の時におかしな方向へグキッと行かないように、関節を守ってくれる構造に期待したいのであります。

このHeadwaters(源流と言う意)ブーツは、GシリーズやKOKERSと比べれば浅めのカットであります。

ガバっと開いて脱ぎ履きが楽です。ライニングの感触もフワフワで心地良いですな。

しかしBoaを締め上げると安心感を感じる十分なサポート性があり、見た目のゴツさによらず、屈曲性もそれほど悪くありませんでした。

他のモデルと比べると、どことなくワークブーツを思わせるクラシックな見た目も嫌いじゃないですな。

岩に擦れてしまう靴の周囲をラバーで全周ガード

これは得られる丈夫さと引き換えに、重量&野暮ったさが増すと思います。

かと言って、靴を水中の岩にコンタクトさせて固定するような使い方も稀にしている訳で・・・。

スタークリーツを6個打った状態で766㌘。しっかりした登山靴並の重量であります。ちなみにコンターラインは420㌘とされています。結構な違いですな。

ま、ココは丈夫さ優先で良いですな。

ただ、水抜き穴が土踏まずの内側部にしか無いのと、ステッチラインが埋め込み式になっていないのが少々気がかりです。

サイズ感について

OSSANは普段、25.5〜26センチのシューズを履いていますな。

このHedWaters・Boaブーツでは、simms size 9 (26cm)が丁度良かったです。

午前中にロードワークを50㌔程行い、午後はアチコチ散歩で歩き回った末、夕方遅くにフィッティングしましたな。

少々厚めのコンプレッションソックス+ショップで借りた3㍉厚のネオプレンソックスを履いた状態であります。

想定使用状況的には、現時点でMAXと思える重ね履き状態です。

この状態で、つま先の余裕は10㍉あるかないかに合わせました。widthはEEEです。

実はウェット・ウェーディングにも今季チャレンジするつもりなので、あまり余裕を持たせると後々都合が悪い事になる・・と考えてのことでありますな。

以上、このブーツを選んだ際の比較検討過程と特徴の数々を、毎度のことながら取り留めなく書き残してみましたな。

思った通りの性能を発揮してくれるでありましょうか?

してくれないと非常に困るのでありますがw

初めて出かけるフィールドへはフェルトソールのシューズも持って行き、どちらを履くかは現場で決めて行く運用になると思います。

今シーズンが終わったら、このブーツのインプレッションをまとめたいとも思っておりますな。

コメント

  1. FFfreak より:

     コーカーズのラバー&フェルトを源流部には持っていきます。
    帰りの登山道はラバーソールじゃないと「滑落もあり」になります。
     フェルトはピン打ちタイプにしたら、却って引っかかってこけそうになりますし、岩の上では接触面積が少ないことから、爪先立ちの感じがします。

     近所(30分くらいの距離)はブーツフットタイプのフェルトです。
    なんせ脱ぎ履きが早いからです。1足を後輩から貰ったので、2足を交互に使用すると長持ちします。

     ワインブレナーとアングラーズハウスはフェルトですが重すぎ。バリスティックを使用してるアングラは丈夫かな。
     ゴローや岩井さんとこのは純毛フェルトで10回は持たなかったです
    でもほんとに滑らない感じでした。

     ハイドロラバーが滑りにくいならぜひそうしたいものです。

     

    • OSSAN より:

      FFfreak様、こんばんわ。
      KOKERSもお使いなのですね。しかもワインブレナーとは・・憧れますね~!
      ロッドやライン等タックルにも好みがあるように、釣り装束にも個々のスタイルがあると思います。
      ただこのシューズを選びながら、フライフィッシングには選択肢が少ないなぁ・・とも感じてしまったり。
      果たしてこのヘッドウオーター・ラバーソールが、しっかり機能してくれれば良いのですが。
      世の中大変な事になってしまいましたが、様々に気を付けながらフィールドへ出かけていきたいと思っております!

  2. リトルドッグ・ブルース より:

    こんにちは。
    最近になってフライを始めたのですが、ウェーディングシューズのことを調べていて、こちらにたどりつきました。
    行きつけのショップの勧めで、最初の1足はリトルプレゼンツのライトウェイトシューズ(フェルト)にしました。ホント、軽くて最高です。
    この1足ですべてカバーできればいいんですが、草の斜面で盛大にすっ転んでしまい、ラバーソールの必要性も認識したしだいです。
    いまのところ、シムスのフライウェイト・ブーツが第一候補です。
    ただ、登山とかでもそうですが、フットウェアは実際に履いてみないと分からないですよね。サイズ感とか、はき心地とか。うーん、迷う!(笑)
    これからもブログ、拝見しますので、いろいろ情報発信してください!

  3. OSSAN より:

    リトルドッグ・ブルース様、はじめまして!
    ウェーディングブーツの選定はホント難しいですよね。
    私は本ページのように、水中性能より水上での安全性に重点を置くことにしました。
    斜面で滑ることも減り、現時点では正解だったと思っています。
    詳しくは更に使い込んで、今年のオフシーズンにでも書きたいと思っていますが、是非クリーツは付けていただきたいと思います。
    専用設計されたラバーのグリップ力は大したものだと思いますが、クリーツが弱点を補ってくれているように感じます。
    高価なものだと思いますが、安全に直結することですので・・・。
    色々なブーツを試着して、良き相棒に巡り合えることを願っております。
    今後ともよろしくお願いいたします。