フライフィッシングを楽しむにあたり、避けて通れない問題があります。
「老眼の進行」でありますな。
現在のOSSANも、数種のシニアグラスを駆使するエキスパート(w)への道をひた走っておるところでございます。
これまで手に入れてきたシニアグラス各種について、もしかするとそんな必要はまったく無いのかも知れませんが、備忘録として書き残しておくことにいたしましたな。
フライ・タイイングに手を出した時、老眼が始まっていることに初めて気がついたのでありました。
バイスに固定する小さなフックに、マテリアル達がどのように固定されておるのか・・・どれだけ目を凝らしても、ほとんど見えないことに愕然としたのでありました。
実釣においてもフックの穴にティペットを通すことはおろか、リーダーとティペットを結ぶことにさえ四苦八苦しておりましたな。
普段はメガネ(近&乱視用)をかけて視力を稼いでおりますが、細かな作業をする際に近距離でのフォーカスが合わないのであります。
この釣りを始めようと思った40代も半ばで、とうとうこの無慈悲な現実へ直面することとなったのであります。
そうか・・と言ってこんな面白い釣りを諦める気にもなれず、現在に至るまで様々な抵抗を続けておるところなのでありますな。
フライ タイイング編
フライのプロショップへ行けば、既製品のフライが沢山売っておりますな。ワタクシもデビュー戦ではそれらのお世話になりました。
製品として販売されているのですから、それらの完成度はOSSANの巻くフライ達の比ではありませんw
現在でも見本として並べておきたい衝動に駆られるものでありますな。
ですが、自分でフライを巻くという行為はフライフィッシングの楽しみ全般に占めるウェイトとして、無視できるレベルのものではありません(断言したヨw)。
ジリジリと蝕まれつつも見飽きた窓外を眺めるしかないような一日、清浄な風が汗を拭ってくれる中で昇華する瞬間を夢みてバイスヘ向かうのであります。
マテリアルとして手元にやってきた鳥獣たち・・魚や昆虫たちをはじめ、フィールドで待っている驚きの様々へも想い巡らせつつ、一本の小さな毛鉤製作へと精神を集中していくのでありますな。
それは、なかなかに良い時間であります。
低く鳴らしていたラジオすら聞こえなくなるほどのゾーンへ突入すると、あれ程しつこく絡みついていた心の蟠りの一切合切から解放され、静謐な熱狂とも言うべき瞬間が訪れます。
フィールドで釣りだけに集中している時と近似な、あの忘我を味わえるのであります。
そのものを追い求めてしまう危険性すら感じられる純粋が、そこにはあるのでありますな。
えーと、何でしたっけ・・・
そう、そのフライ(を巻くための諸々も)が見えないのでは話にならないのでありますよ。
バブリーなTVコマーシャルをバンバン打っている怪しい老眼鏡(失礼w)に、貴重な諭吉様を動員する訳には参りません。
拡大率の異なる2本の老眼鏡を100円ショップで購入し、フライタイイングに関しては問題なく使用できることを確認しましたな。
焦点の合う範囲はとても狭いので、休憩のためにバイスから視線を外したり、マテリアルやツールを探したり・・・という時には、このメガネをずらしたり掛け替えたりしなくてはなりません。
逆に言えばそれだけのことでありますので何ら問題はないとも言えますが、疲れてくるとそれすらメンドクサくなってまいります。
現在はミッジサイズや込み入った作業の必要なフライ以外では、実釣用として購入した跳ね上げ式の老眼鏡がメインとなっています。
拡大率が2倍ですのでちょっと物足りないこともありますが、タイイングとそれ以外の日常生活に付随する行動(一服やトイレに立ったりなど)のシームレス化で便利になりましたな。
実 釣 編
初めて手に入れたシニア・グラスは、メガネに直接取り付けて使用するタイプでしたな。
コレは結構な重量があり、普段使用している華奢な眼鏡へ取り付ける気にはならないものでした。
キャップのツバに挟んで使用するようになりましたが、視界にフライを捉えるためにはアームの可動域やレンズ角度がうまく噛みあわず、フィールドに持ち出すのも億劫になっておりましたな。
(当初は想定していなかった)激しい動きをすると、キャップからクリップが外れ、吹っ飛んで行ってしまう事もしょっちゅうでありました。
クリップ部分が壊れたのを機に、処分することとなりましたな。
次に手に入れたのは⇧のタイイング編で紹介した、メガネのグラス部を挟んで使用する跳ね上げタイプのものでありました。
クリップ部のアームも無く、比較的軽量なものでありました。しかし激しい動きを伴った釣行では、やはりメガネごと吹っ飛びましたな・・・;;
回収不能な水中などに眼鏡ごと落としてしまうと、これはエライコトになってしまいます。
どうも通常使用している眼鏡と、このようなタイプの拡大鏡を組み合わせるのは避けた方が無難なようであります。
では、偏光グラスとの組み合わせはどうか?
我が偏光グラスはPOCというメーカーの、基本的にサイクルスポーツ用のフレームであります。
顔への固定力は文句なしですし、大きなレンズ面積も相まって
メマトイたちに対して絶大な防御力を発揮してくれるw
のですが、やはりこの跳ね上げ式拡大鏡とは相性が良くありませんでしたな。
風の巻き込みを防ぐための顔に沿った形状のレンズカーブがキツく、取り付けた拡大鏡が浮き気味となって合焦地点が先送りになってしまうのであります。
拡大率が2倍ということもあって、どうにも中途半端な使用感でありました。
さらに上下のレンズ高に対し、拡大レンズ部は半分くらいしかないので上目遣いの必要がありましたし、何より見た目がマヌケです。
前述のように、このシニアグラスは「目のコンディションが良い時のタイイング用」に使用していくことにいたしましたな。
そんなこんなで、しばらくはシニアグラス無しでの釣行を続けてまいりましたが、いよいよ#16フックですらハンドリングが怪しくなってまいりました・・・
様々なシニアグラスの構造を調査し、想像と経験のヤスリにかけた末、
フリップ・フォーカル
と言うものを手に入れることといたしましたな。
ティムコさんが輸入販売を手掛けている、今さら言うまでもないフライフィッシングの定番品であります。
最初からコレを手にしていれば廻り道をしなくて済んだのかもしれませんが、それではオモシロくありませんのでな・・・そういう性格なので仕方ないのであります。
初期に手にしたモノとレンズ自体は同様の物でしょうが、そこは専用品であります。
使用されている材質はほとんどプラスチックなので相当に軽量でもあり、キャップのつばに取り付けても存在を意識することが少なくなりました。
クリップでつばを挟んだうえピンで固定するので、激しい運動を行っても落としてしまう事がなくなりましたな。
なるほど良く考えられており、その使い勝手も上々とは言えなくとも、中の上くらいと言っても良いのではと思います(偉そうだなオイ)。
しかし気になる事が無いこともナイのでありますな。
① 高価である
このグラスを避けていた一番の要因であります。
季節や気分によって使用するキャップは変わりますな。変えなければ良いのでしょうが、そうはいきません。
キャップごとに固定装備としようにも、我が倹しい人生において約¥3000という価格はいかにも高価であります。
そしてコレの脱着は後述するところにより、できる限りその頻度を抑えたいと思うのであります。
② 強度的な不安がある
使用されているプラスチックが、一昔前を想起させるギシギシ系(?)のものであります。
お伝えするのが難しいですが、実際に手にして頂けると何を言わんとしているかは(特に昭和世代の御同輩には)お分かりいただけるのではと。
コレがあまり丈夫でないことは、人生経験としてわかっておる所なのでありますな。
軽量性との引き換えで・・・と納得しようとしていますが、その高価さも相まって不安になる部分です。
街中での普段使いや洗濯もするキャップ達ですので、脱着を繰り返さないわけにもいきません。
キャップ自体も痛むでしょうし、いつかはクリップ部が破断する未来が予測できます。
③ キャップだけじゃなくなった
フィールドにおいて、後頭部や露出する耳・首筋等への直射日光が辛く感じるようになってまいりましたな。
こんなところでも齢を重ねた影響があるのだなぁと、ある種の感慨を覚えておる昨今であります。
「暑いし、フードを被るほどではないかな・・?」という、小雨時での釣行快適性向上にも有用であろうと、頭部全周をカバーできるハットも用意しておくことにしたのであります。
そうすると、このハットではフリップ・フォーカルを運用できないことがわかってしまいました。
つばが柔らかすぎて安定しないのであります。取りつけることはもちろん可能ですが、グラスの開閉操作を片手で行えません。
そしてグラスの重さでつば(ブリムと申すようです)が微妙に垂れ下がったり振れたりすることも鬱陶しくて我慢できず、このハットに取り付けての運用は諦めましたな。
このハットの運用時に何か良いモノがないかと模索し続けて、思いついたのがコレですな↓
100円ショップの材料を組み合わせて自作するつもりでおりましたが、ほぼこのようなものを想定しておったところであります。
このようなルーペをベストの胸元などに固定しておけば、必要な時に丁度良い位置で作業が出来るのではないか?と考えていたのであります。
このルーペは実践投入前なのですが、こちらにも懸念はありますな。
① 材質がチャチイので、わりとすぐ壊れそうである。
② クリップで留めているだけなので紛失しそう。
③ レンズ径が小さい&倍率(4.5倍)が高すぎる。
③ いかにもラインが絡みそうである。
④ ベスト着用時なら良いとして、それ以外(ヒップパックとか)の時はどうすんの?
⑤ ベストからニョキっと突き出ていて、なんだか見た目がイヤらしいw
等であります。
比較的気安いお値段ですので、このような構造での使い勝手を検証する材料としては丁度良いかな?と思っておるところであります。
「アノ悩みも、コレで解決ww」などと、いかにも怪しい広告キャッチが成立するような結果にはならないだろうナと予想してもおりますが・・・
しかしまぁ、ティペットが結べないのでは勝負が始まりませんし、限られた季節にだけ取り付ければ良いのでしょう。
キャップでのフリップフォーカル+ハットでのクリップルーペ。今後しばらくは、この運用で様子を見ていく事としたところであります。
こと渓流でのフライフィッシングにおいて、眼鏡の有無や衣服・パックの組み合わせ等の使用状況によって、世に数多あるシニアグラスも使用に耐えるものは限られてしまうようでありますな。
さらに使用感等の個人的好みまでが加わると、究極のフライフィッシング用シニア・グラスも一つと言うわけに行かなそうであります。
ここでも、底なし沼の縁に立つ思いでありますな・・・
諸兄姉におかれては、この問題にどのように対峙されておられますでしょうか?
コメント
はじめまして。
ブログを初めからずーっと読ませていただいておりますが、コメントさせていただくのは初めてとなります。
ossanさんとは年齢も近く(おそらく私のほうが2,3上でしょうか)これまでの釣り歴やフライフィッシングに対する姿勢など共通・共感するものが大変多く、多々あるフライフィッシング関連のブログの中でも最も参考にさせて頂いております。
ossanさんがブログで紹介されたギアやロッドなどと同じ物も多数買ってしまっています(笑)。
前置きが長くなりました。
私も老眼問題に悩まされていますが、今の所これに落ち着いています。
https://www.autos-inc.jp/hydrotac/
サングラスに貼り付けるタイプの老眼鏡レンズです。
Amazonなどで2,500円ぐらいで買えます。
複数のサングラスを使い分けるのでしたら面倒ですが、私は一つのサングラスだけでやってますので貼り付けたままにしています。
そのままで使うとサイズが大きいですので、レンズをはさみで小さく加工し、サングラスのレンズ面内側の上部に貼り付けます。フライ交換など必要なときはサングラスを(大村崑ちゃんのように)少し下にずらし、ハイドロタックのレンズ越しに見るわけです。
このレンズをサングラスのレンズ面の下側に貼らないところがミソです。
下側に貼りますと渓流を遡上する際の足元の見え方が不安定になり、危険だからです。
リサーチ能力に長けたossanさんですから、すでにご存知、あるいは試用されたかもしれませんが、これまでのブログではこの商品のことは触れられていないようですのでご紹介いたしました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
schumi 様、初めまして!
ヨタヨタと取り留めのないこのようなブログでも、何かしらのお役に立てるのであれば大変嬉しく思います。
手探りで始めたフライフィッシングも早五年が経ちましたが、いよいよ熱を帯びて夢中になっております。
願わくば、もっと釣行機会を確保できれば嬉しいのですが・・・そんな思いが道具へ向かってしまうようで、どうもいけませんネ;;
さて、ご紹介いただいた「貼る老眼鏡」ですが、このような物もあるのですね!
情報ありがとうございます。
とにかく軽くなりそうなので、日没間際や木々のトンネル下を釣るときの、通常の眼鏡使用時にも良さそうです!
大きさをカットしてカスタマイズできる事にも唆られます。
私の偏光グラスはロードバイク趣味と兼用なので、その際は前傾姿勢なんですよね。
すると常時上目遣いなので、貼りっぱなしには出来そうにない・・・むむむ・・・;;
「フライフィッシングにおける老眼対策」は全く終了しておりませんので、今後何かしらの形で試してみようと思います。
不定期ではありますが、今後も細々とヨタヨタ記事をUPしてまいります。
どうぞ(疑いと哀れみの心を持ちつつ)お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。