暑熱の千曲川水系釣行記。令和における初釣りはケチョンケチョンにされたこと。

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人生ではじめてのサイクル・ライドイベントとして、緑のAACR120㌔を完走したOSSAN。

実はこのイベントに参加する日程を調整するにあたり、職場の冷ややかな視線やあからさまな怨嗟の声をも振り払い、もう一日の有給をブチ込んでおったのでありました。

だって、せっかく5月の信州へ足を伸ばすのでありますよ?

”釣りをしない”という手はないではありませんか!

季節外れの暑熱に炙られつつ、何とかゴールしたあとは再度ロードバイクを車載し、安曇野から佐久市へ移動しましたな。

完全に体内のエネルギーが枯渇した状態だったので、道中の運転が危なっかしかったのは反省であります。

約二時間半のドライブの後、転がり込んだ佐久平駅前の東横INN。

メガネを外さないまま、思いっきり顔を洗ってしまいましたからな・・・。

リソースの無駄使いしてるなぁ・・・

以前よりTwitterで絡んでいただいている、”隊長@tikuma_river”様(以下隊長さん)に、千曲川水系と本流の釣りを紹介していただける約束をしておったのであります。

本来ならば昨年中に伺う予定でありましたが、諸般の事情もあって叶えられず、二年越しのお約束でありましたな。

感慨もひとしおなのでありました。

 

毎度のごとく話が脱線しますが、初めて訪れる街の夜が好きであります。

なんとも言えず、ワクワクしますな。

遠出した日の夜は殆どの場合、宿で飲み食いを続けてそのままだらしなくベッドに倒れ込むか、もしくは人里離れたキャンプ場などで焚き火を眺めつつ飲み食いを続け、だらしなく寝袋に潜り込むかでありますな。

「どっちにしろだらし無く飲み食いしてぶっ倒れてるだけじゃないか!」

と感じるのは気の所為ではありません。

身体全体がカラッカラなので、中ジョッキが三口で空になっていきます・・・。

今宵は散歩がてら”養老乃瀧・佐久平店”で夕食でありますな。

OSSANの人生においてはよっぽどのことがない限り、

夕食=晩酌

であります。

今日のように身も心も乾ききってしまう様な活動を行った日の夕刻に、コレが無いと想像するだけで拷問であります。

登山でも、立ち寄る山小屋などでビールの販売があるかは必ず調べましたし、無ければ担いで行っておりました。

体調が悪く身体が受け付けない・・・という場合以外は、一日を締めくくるのに欠かせないルーチンなのであります。

一人飲みは寂しくもあり、楽しくもあり。

カウンターの向こうで忙しく立ち働くオヤッさんのタフさに感心したり、初心なバイト君の対応に旅愁を感じつつ、幼馴染とSMSでバカなやり取りをしているうちにすっかり記憶がなくなりましたな。

 

さて、翌日であります。

昨日に引き続き長野の最高気温は、今日も34度くらいまで上昇してしまう予報でありました。

隊長さん曰く、「5月にこんなに暑いのは覚えがない」というくらいで、もう全く真夏なのであります。

眩しい朝日に照らされる小規模河川の土手道を、たくさんの小・中学生たち月登校していきます。思わず目元が緩みますな。

彼等には申し訳ありませんが、ワタクシの休日はこれからが本番であります!

佐久市内で待ち合わせ〜千曲川支流、A川を案内していただきましたな。

 

ここで少しだけ、お断りをしておかなければなりません。

いつかはこの問題に触れることになるだろうと覚悟しておりましたが、その時がやってきました。

これまでOSSANの体験してきた数少ないネイティブ・フィールドは、超・有名河川でありましたな。

ですのでその河川名をこのブログへ書き込みました。

しかしそれほど名の知れていない川に関しては、今後このようにアルファベット表記、もしくは勝手にOSSANが名前を創作して書き付け、詳細を伏せることをご承知置きいただきたいのであります。

釣りという趣味に臨むにあたって、各々スタンスがあると思います。

私にも釣りを趣味とする知り合いが数人おります。しかし彼らの多くは釣友ではありません。

彼らは釣りが上手です。

OSSANよりはるかに上手で、フィールドへ向かう体力も時間も、その他様々な条件もずっと恵まれています。

彼らは釣りまくります。小さな魚を逃してやることはあっても、彼らにとっての一定のサイズ以上の魚はすべて持ち帰ります。

嬉々としてその獲物たちの写真を見せられた時、OSSANは反応に困ってしまいましたな。

フィッシュ&イートに異を唱えるのではありません。岩魚も山女魚も、とても美味しいと思いますし、大好きなのであります。

極少数の友人は、OSSANのナイフ捌きも知っています。

単純に、「そんなに必要なの?」という疑問なのです。家族やご近所さん、知り合いの分も釣ってるのかな?

もし、私が今後その対象となることがあればハッキリ、「いらない」と答えると思います。

自分で食べる分は、自分で釣りたいと思うのです。

そしてそれは、そんなに多くは必要ないです。

とても読者が多いと思えないヨタヨタブログでも、何かの間違いで彼らの目に留まらないとも限らない・・・かも知れないのであります。

唐突だな・・・

今の日本の渓流で、魚たちが無尽に湧き出るようなフィールドがあれば、是非教えていただきたいのであります。

成魚、稚魚、発眼卵放流等も行い、魚たちのみならず全ての生き物たちの生息環境に気を使い、保全している場所はどこでしょうか。

過去の失敗を、果敢に正そうと取り組んでいる地域はどこでしょう。

私は見たい。河川に限らずとも、そんな場所へこそ行ってみたくてたまらないのであります。

今後訪れるかも知れない、地元の方々が大事にしているフィールドへ、単なる旅行者であるOSSANが何らか悪い影響を与えること等決してあってはならない・・・。

と考えているのでありますな。

 

閑話休題。

積もる話を車内で交わし、身支度を整えていざ渓に降り立つと、OSSANは軽く絶句してしまいましたな。

柔らかそうな木立に両岸を覆われ、真夏(まだ5月なんですが・・・)の陽光が幾筋も差し込むその渓は、これまでの何処でも感じたことのない生命感で満ちておりました。

沢山の羽虫たちが飛び交っておりますが、写真には上手く写っておりませんな・・・;;

蜻蛉、ガガンボ、カディス、ブユの類・・・夥しい羽虫たちが皆ひっくるめて、素晴らしい密度で飛び交っているのです!

フライフィッシングに出会ってなかったら、単に薄暗い渓底で得体の知れない虫たちに頬を撫でられ、発狂しそうなシチュエーションであるかも知れません。

「一体何故オレはこんな所で・・・」と何者かを呪うことになったのかもしれません。

しかし自分の目には今、この上ない豊穣感に満ちた風景に映るのであります!

もうノッケからこんな書き方をしてしまいます。

こんな光景を見ることが出来たというだけでも、カツカツの体力を振り絞って安曇野から移動してきた甲斐があるというものなのであります!!

これまでで一番、小規模な流れかも知れません。

飛び交う虫たちの色目と大きさを目測し、16番フックでしつらえた目印付きのディアヘア・カディスを結びます。

まだ釣れたわけでもないのに、手が震えて仕方ありません。

「焦るな、焦るな・・・もう釣れたも同然なんだから・・!」逸る気持ちと心拍を落ち着かせるのに一苦労なのであります。

 

隊長さんは細かにこの渓の魚の付き方のクセや、アプローチに関してのアドバイスと同時に、

仕返しに、隠し撮りした隊長さんの後ろ姿を載せてしまいますww

 

「ここから届かせて、釣ってこそ漢!」

と絶妙なプレッシャーも与えてくれますw

 

わかってますとも・・・!

 

2年越しの機会なのであります。

 

こんな、

 

夢に出てきそうな渓で釣らないでか!!

 

 

・・・

 

・・・・;;

 

スイマセン、大口たたきました。

 

誠に不甲斐なく申し訳ないのでありますが・・・

 

 

釣れません。

どうしたらいいでしょう;;

 

 

何故でしょう?

これだけの虫たちが乱舞し、カディスのハッチもひっきりなしです。

ライズの一つも発見できて然るべきなのに、釣り始めからこれまで全く見ていないのです。

いやはや。ここまで来て、いつも通りの展開すぎて困ってしまいます。

ようやくのことで水面を割ってくれた20センチほどの美しい山女魚は、写真に収める間もなくネットから逃げ出されてしまいました。

しかし1尾は1尾なのであります。

少しだけ気持ちが落ち着いて、周囲に目を走らせる余裕が出てきましたな・・・と、新しそうな足跡発見

足を置く位置、歩幅、フェルトソールらしき足跡から推測するに、小柄で渓流釣りに慣れた人物が昨日か一昨日に入ったようであります。

こればかりは仕方ありません。

それにしてもよほど上手い人であったのか、「ここは出るだろう」というポイントで全く反応なし。

小さな淵などでニンフも流してみますが、順調すぎるほどに空振るのでありましたw

メマトイも大量に発生しており、頭から被るネットも初めて使ってみましたが、大ぶりなPOCアイウェアのおかげで必要ありませんでしたな。

 

イイ具合に煮詰まってまいりましたな・・・

 

釣り上がりのペースを上げて数打ち方式に変えるべきなのでしょうが、どこも良さそうなポイントに見えてしまうので、どうしてもこだわり気味になってしまいます。

いいなぁ・・。ウン、いいなぁ・・・。

そうこうするうち、小さな落差の向こうに多少の水深を感じさせる、比較的大き目なフラットが見えましたな。

明らかに「あそこに数尾は居なければおかしい」と思えるポイントです。

もう何度目でありましょう。腰をかがめ慎重に距離を詰めるのでありますな。

踏む岩を転がして不用意な音を立ててしまわないよう、力の戻っていない内腿に無理を押して踏ん張らせます。

ここまで幾度も頭上の木立をフッキングしておりましたが、そうして潰してしまうにはあまりに惜しいポイントに思えました。

慎重に、慎重に・・・!

スルスルと気持ちよくラインが伸び、リーダー、ティペットともに上出来と思える着水をしてくれホッとします。

今日は気合が入ってますからネ。

BGR-001とドライ・シェイクの複合処置を施されたカディスはふんわりと流れに乗り、完璧であります。

と、明らかに尺に絡む魚のバイトがありました!

 

「・・ッ出た!」

「ぅ、あぁ~っ!」

「アーッ・・惜しい!!」

「・・・デカかった・・・!」

「今のは良かった!イイもの見させてもらいました・・・」

 

まさに、一瞬でありましたな。

うねりながら水面に盛り上がる肩が、我がカディスを抑え込む姿がハッキリと見えました。

フッキングがうまくいっていない時特有の感覚がロッドに伝わり、瞬間の手応えだけを残してテンションは失われました。

 

一体私は、どれだけのことを消費、犠牲にしてここへ立っているのでしょうか?

彼を手に出来なかっただけでこの瞬間、一体どれほど多くの事物が、指の間からすり抜けて行ってしまったでしょうか・・・!!

なんとしても掴まなければならなかったチャンスを、逃してしまったのであります・・・!

もう遅いのです。

彼にはもう気づかれてしまいました。飽食の季節を謳歌する、その自由と生命を脅かす我らの存在を。

やっとの思いで実現したこの勝負が、あまりにもあっけなく終わってしまった事を納得するのに、脱溪するまでかかりました。

 

岩魚でしたな。

 

カディスばかりじゃないのよ?一応、魚の写真も載せないとデスネ;;

 

「オレの人生そのものじゃないか・・・」(心の声)

 

いやはや、こうなるともうダメですネ。

その後も沢山のポイントにアプローチし、可愛い岩魚と山女魚を1尾づつ手にしましたが、あの光景がフラッシュバックしてきて集中出来ませんでした。

現状を満足すべきであるにも関わらず、千載一遇に恵まれたその記憶にいつまでも拘ってしまう。

あの波紋。あの鈍色。あの音。あの速度。あの反射。あの重さ・・・

この感覚は、遠い過去の彼女への想いと通じるものがあるかも知れないなぁ・・・等と不純な回想にも囚われてしまいます。

 

これをこそ、

”ヘタクソ!!”

と言うのでありましょう;;

渓から上がると、夏の日に蒸す森であります。

いつもに増して、楽しい時はあっという間でありました。

午前から釣り始めたというのに、もうタイムアップを気にしなければならない時間となってしまいましたな。

急いで移動しなければなりません。

暑熱と湿気に満ちた林道を、車までトボトボと引き返しながら「ああ、今日はやっぱりこんなに暑かったのか。木立に守られて釣りをしていたんだなぁ・・・。」と気が付きました。

 

「夕方のライズ狙いで一発・大物勝負!」

勝負の時は、もう僅かであります。

鼻の穴を大きくして挑んだ千曲川本流は、常態を知らないOSSANから見ても少々濁りが入っておるように思えました。

海外のフライ・フィッシング動画で見た様な、ステインな水色であります。

「ドライじゃ出ないな・・・。」

当て込んでいたポイントでは、ビーズヘッド・MSCニンフのスイングで1バラシのみ。

#14ブルー・ダンへ切り替えた際に1〜2度、フワッとしたライズを見せてくれた魚もいましたが、明らかにサイズもヤル気も足りなさそうでありました。

ラスター・オレンジのTAREXでも視界は厳しくなり、常用している眼鏡を車に置いてきたことを少しだけ後悔しましたな。

山肌を走る国道の街灯に灯が入り、すっかりその存在感が強まっています。心細い経験則の引き出しを引っ掻き回し、結ぶフライを慌ただしく変えていきます。

それでも川は沸騰せず、開かず、沈黙を続けるのでありました。

朝からチビチビと飲み継いできた、ペットボトルのお茶も空になりました。。

ほぼ同時に私の身体と、何かが限界を迎えましたな。

 

戻ってきたフライをマグネット・パッチに貼り付け、ラインをすべて巻取ります。

このカディスを巻いた日を覚えております。

現在も状況は変わりませんが、ストレスまみれの昨年1月だったはずでありますな。

そのホスピタリティ、緩やかさやシンクロする波長。ありがとうございました!

振り返ると、隊長さんは未だ水面を凝視しキャストを繰り返しています。

Terenzioのしなやかなラインが、”バリっ”としたsageロッドから繰り出される様が絵になります。

辺りには3センチはありそうな、濃褐色で尾の長い蜻蛉が優美に舞い続けています。

つくづく、「羨ましいなぁ。」と思うのでありました。

今日は釣れなかった。

けれど、30分も車を走らせればこんなフィールドへ到達出来るのであります。

日を変え、季節、天候を変えて挑めば、きっとあの”彼”を手にすることも出来るはずなのです。

OSSANは旅行者です。隣の芝はなんとやら・・・。そりゃぁ、いい気なモンであります。

しかし今、流れを見つめる隊長さんの目が優しさに満ちて、鷹揚であることをワタクシは見逃さないのでありました。

 

この後辿らなければならない3時間余りの帰路と、翌日デスクに積まれているであろう不愉快の塊を思い出せば、おきまりの”滅形”に襲われておかしくありません。

時にそれは、追い詰めてくるような暴力性を秘めています。

今日いっぱいの楽しい時の中でさえ、ゆっくりと覚悟を固め、身構えていたのであります。

しかしこの釣行の帰り道、襲撃は起こりませんでした。

唯々、今後の楽しみな課題と、眼裏に残る美しい風景に想いを馳せるだけで良かったのであります。

その理由は今もわかっていないのでありますな。

何か良い方法が無いかな・・・。

何から何まで、有難うございました。

近いうちにまたお伺いできればと願っております。

”彼”とは、その日にOSSANと遊んでくれるよう、前もって話をつけておいて頂けると非常に助かりますw

大丈夫。ダイジョウブ。

よほどのことがない限り、獲って喰ったりはしないつもりなのでありますから!

 

今度、こういうのを買って持っていこうかと思っていますw

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2 Replies to “暑熱の千曲川水系釣行記。令和における初釣りはケチョンケチョンにされたこと。”

  1. 初めまして、以前から拝読させていただいております。

    美しい小渓での大物のフライへのアタックの瞬間、ばらし迄の沸騰と蒸散が見えるような文章ですね。
    開高健の影響が見えるような、、笑

    今後の記事も楽しみにしております。

    1. kissy様、初めまして!
      恥ずかしながら、フィールドでの全ての経験が大切すぎて、要領を得ない長文を書き募ってしまいます。
      もっとシンプルにしたいと思い続けてもおりますが、全く改善できない・・・ダメですね;;
      ご指摘の通り、故・開高健氏の著作はほぼ全作品を所蔵しており、遠い青春時代から心酔し続けております。
      いつか、読んでくださった方の胸が「スッと」すく様なページを残すことができればと夢見てはいるのですが・・・。
      今後とも、長い目でお付き合いいただければ幸いであります!

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