前回釣行からそれほど日を空けず、奥日光・湯川へ行ってまいりましたな。
過去記事を見返してみると、ネイティブフィールド・デビューとして訪れたのはもう3年前。
湯川はワタクシにとっても、特別な場所なのです。
本当はですネ、今回も連休だったためキャンプ&フィッシングとするつもりだったんですな。
以前悔しい思いをした温泉には、ナニが何でも入るつもりでおりました。
しかし丸一日雨が降り続く予報で何があるか分からないのと、雨後のテント片づけの面倒さを嫌気して、日帰りでの釣行といたしましたな。
首都高~東北道~日光宇都宮道と辿り、二時間ちょっとで赤沼茶屋へ到着。
6時台というのに辺りは既にハイカー、フォトグラファー、そしてアングラーで賑わっておりました。
この時点では「あんまり閑散としてるのも湯川らしくないからネw」などと嘯いておったのでありますが・・・。
今回は上流域のみを釣る予定なので、チケット購入後は即、湯滝レストハウス(休業中でした)まで移動。
崩落情報の有るルートを避け、一気に小田代橋まで南下いたしました。
(湯川・湯の湖 field-map)
フェルトソールのウェーディングシューズで木道を歩くのは憂鬱でしたな。しかし新たに導入したラバーソールのWDシューズは快適です。
クリーツを打っている事も大きな要因と思いますが、今季使用してきたフィールドでは、不安を覚えたことはありません。
ゆったりと大きく川が蛇行した気分の良い地点を見つけて入渓し、イキナリ座り込みます。
歩くうちに、いつの間にかウィンドノットの出来てしまったリーダーを解くのでありますな。
多くのハイカーがクマ避け鈴を響かせながら、珍奇なものを見るような視線を浴びせつつ通り過ぎていきます。
これほど沢山の人々がチリンチリン言わせていれば、クマたちも遙か遠くに追いやられているでしょう。
自身は車に置いてきましたな。
涼しげな音と会話が遠ざかって行ってしまうまで、なるべく顔が合ってしまわないよう、作業に没頭しているフリをします。
周囲に満ちるしっとりした清浄なものたちが、体内一杯に詰め込まれている好ましくないものたちとすっかり置換してくれるのには、まだもうしばらくかかりそうです。
何だか視線がコソバユイのは、湯川の釣り独特でありますな。
なぜ湯川に来たのか。
シルクラインの産湯を使うため
であります。
この日の為に十数回(二十数回かも。途中でカウントをやめましたw)、グリーシング&乾燥を繰り返してきましたな。
それだけ手間暇かけて、準備してきたのであります。
”特別な場所で、特別な糸を使い、特別な魚を釣る”
早く使ってみたいのはヤマヤマでありましたが、その思いを持って今シーズンここまで我慢してきたのであります。
今朝は休みなのにもかかわらず、ちゃんと髭を剃ってまいりました。 関係ありませんが、パンツも新品おろしたてです。
ワタクシなりの礼儀です。
やっとのことでウィンドノットを解き、ハラハラと周囲を舞うメイフライたちの大きさと色味に合致すると思われるパラシュートフライを丁寧に結びました。
それはもう柔らかに、滑らかに宙を舞ってフライをポイントへ・・・
届かないですな;;
ターンの具合も何だかオカシイです。
教えて頂いた通り、7.6ftリーダーへ4Xティペットを2ftほど。その先へ6Xを2~3ftのシステムであります。
合わせたロッドは7’7”のSCOTT。
いくらOSSANがヨタヨタのポンコツでも、扱いきれない長さではない(と、自分だけ思ってる)のであります。
う~む・・・う~む・・・;;
アアでもあろうかコウでもあろうかとキャスティング動作に小細工を加えてみますが、どうもうまくいかないのでありました。
思うように飛距離が伸びず、コントロールもままならないまま、夢に見るような景色の中を釣り上がっていきます。
前日の降雨の影響を心配していましたが、この日の湯川は水量・透明度とも問題なし。
以前の記憶と比較すると土砂の堆積が進み、深さの有るポイントがかなり減っている印象を持ちました。
早いうちに数尾はキャッチしておきたいなぁ・・・などと目論んでおりましたが、そうウマく事が運ぶのであれば苦労はないのであります。
川底まで日が差し込み、ポイントやタイミングが絞られてしまいそうな事の方が気がかりでありましたな。
ニンフを使えばまだマシなのでしょうが、やっぱりドライで釣りたいのです。
ましてや釣り上がっていくと、たくさんのアングラーが釣り下ってくるのにすれ違うわけでありまして。
「うわぁ、コリャ今日も覚悟を決めないとならないのかなぁ・・・;;」
土曜日であることを、すっかり忘れておりましたな。
力が抜けて途端に空腹を思い出し、気分の良い場所を見つけて朝食休憩としました。
ん〜・・・ロッドとの相性が悪いのかな?
グリーシングかエイジングのいづれかが足りないのかな?やり方が間違っていたのかな?
久しぶりのフィールドにも、未だに自分のリズムが合っていないことを感じます。
この時点で数えきれないほど上空や後方の枝を釣り、下生えを釣り、倒木も釣りました。
ブルックを釣り上げるどころのハナシではありませんw
ロッドを短くしようと、サブとして持ち込んでいたカムパネラ・リバーソングをセットしました。
そうしましたらね、あら不思議。
伸びるんですよコレが。
振り心地の軽快なSCOTTよりも、悪く言うと鈍重とさえ思えるリバーソングの方がラインが伸びるのであります。
正確に言うと伸び方が気持ちイイ。
ラインの飛距離に明らかな差が出る、という事ではないですな。
直前の釣行で一日中使用していたことも影響しているのか、ちょっと風に弱いかな・・・と感じる以外は明らかにアキュラシーも安定し、「ああ、コレなら釣りになる」と感じたのであります。
う~む・・・
しかしどれも導入して日の浅い、使いこなせていないタックルばかりなのでありますな。
初めての経験で何事かを断じるには早漏にすぎると思いますので、この辺りは今後、注意深く経験を重ねていくことにいたします。
パラシュートフライで数度の反応はありましたが、結局ノーフィッシュのまま小滝まで来てしまいました。
二か所の滝の落ち口は掘れて深くなっていますが、そこからは脛の半分ほどの水深しかなく、魚がいないのがよく見えますw
分かりやすく有名なポイントであり、今日だけでもたくさんの人がフライを投入した後でしょう。
現にその時も一人のフライ・アングラーが攻めている最中でありました。
「まあ、せっかく来たんだしナ・・」
滝の写真だけ撮らせてもらおうと声をかけると、「どうぞやってください」と言って頂けたのでありがたくキャストをしてみましたが、当然のように釣れません。
それよりも、情報交換をしているときにフトした違和感が・・・
なんと、
ホワイティング・キャップがお揃ってしまいましたなww
街中でファッションが被ることほどバツの悪いことも少ないと思いますが、フィールドでは妙な親近感を(勝手に)覚えてしまったOSSANなのでありました。
そんな出会いと偶然もありつつ。
林道を使って滝上に出、以前に良い思いをした流れを遥か上から覗き込みますが、ひと・人・ヒト・・・。
仕方ないのでどんどん進んでしまってから、適当な踏跡をたどります。
この日は一体、何人の釣り人が入渓していたのでしょう?
やっと見つけた場所を釣っていると、狙っているポイントのすぐ上流へ2人組が迫ってきました。
こちらが歩を止めているのですから、ちょっと注意深く観察すれば何処へフライを投入しようとしているかくらいは分かると思うのです。
が、その方々はそのポイントの数メートル上流へ、そのまま踏み込んでくる様子なのでありますよ。
OSSANは他の人を見かけたら、声をかけるとき以外は相当の距離を空けて遠巻きにしてきたのですよ?
分からなかったのだと思いたいですが、あまりいい気分はしなかったのであります。
でもネ。
それはもう、どうでもいいのですな。
ソコで釣れましたからw
川幅が1㍍も無いような、かなりイヤらしいポイントでしたな。
あっという間に美味しい部分をドリフトし終わってしまう流れの強さ。
下生えのある小さな中洲を挟み、頭上にも木立。
対岸には木の根が剥き出して、不用意なキャストを許さない厳しさと、上流から迫りくる釣り人・・・。
急いで結んだ実験君フライである赤染めエルクヘア・カディスは、ピックアップポイントの寸前で、この日初の特別な魚をもたらしてくれました!
フライへの出方一つとっても、相当にプレッシャーがかかっていることを感じます。
これまでに反応した魚たちを含め、水面をとても浅く、削ぐようにフライに襲い掛かるのでありますな。
グラスロッドの柔軟性は、このように入り組んだポイントでのファイトにおいて一長一短あると思いました。
突然の突っ込みに対して繊細なティペットを守るには、良い方向に機能するでしょう。
しかし魚の急激な方向転換に対応するのに、1~2テンポ遅れます。
周囲のストラクチャーの位置関係を把握したうえ、頭の中でザックリとファイトのイメージを描いておかないと危険な気がしています。
まあ、反応速度も鈍ったワタクシでありますので、しかたありませんなw
OSSANの腕では、もしかするとこの日最後の魚かも知れない・・・とヒヤヒヤしながら大事にランディングしたのであります。
無事ネットに収まったブルックトラウトを眺め、なにやら申し訳ない気がしてきてしまいました。
「何かゴメンな。 釣れてくれてありがとな。」
ようやくのことで危機を脱し、少しだけ気が楽になって、さらに釣りあがって行きました。
目ぼしいポイントではもれなく釣り人が竿を振っており、彼らを遠巻きに進んで行くと、あっという間にレストハウスの建屋が見えてきてしまいましたな。
今日の釣りの、終わりを覚悟しなければならないのでありました。
木々に遮られがちな日によって作り出される様々な陰がほんの少しだけ薄まり、伸びつつあることに気づきます。
森も川も虫も魚たちも、この騒がしかった一日から、もう数時間で解放されるのでしょうな。
ワタクシはその頃、明日を考えずに済むよう脳をアルコールで麻痺させ、夢も見ずに眠りこけることに集中しなければなりません。
木道に沿って滑らかに開けた流れでは、蜻蛉たちが輝きながら舞っておりました。
それまで見かけることのなかったライズが起こったのは、もうそこへ至ってからでありましたな。
どうしても、もう一尾。
手にして帰路に就きたいのでありました。
まだ青々と葉を茂らせる倒木が川を跨ぎ、ポイントまでを塞いでいます。ご丁寧なことに、手前の地面からは枯れ枝も数本。
でも、ここをパスしてしまえば湯滝はもうそこですな。ライズを観察している間にも数人が登っていきました。
ここでやるしかないのです。
1m弱の地面と倒木の隙間へ、覗き込むような態勢でサイドキャストをねじ込みました。
当初手を焼いたシルクラインは、結局最後まで浮力を失わず、本日の釣りを全うさせてくれました。
小気味良い擦過音を発するその糸は、運よく枯れ枝をかわすことができました。
ライズのポイントまでは2mほども足りない、ヘナチョコキャストとなってしまう事は78.6%程の確率で予想しておりました。
しかし、たった1m強のドリフトにも関わらず、またもやのレッド・カディスを吸い込んでくれたのでありますよ・・・
なんと優しく、厳しいのでしょう。
今我が手に収まり息づくのは、可憐な体に似合わない、イカツイ顔つきの特別な魚。
その肌はゴッホの星月夜か、いつか見た銀河を想わせます。
湯川の雫の一滴。
奥日光の小さな閃きの一つ。
ブルック・トラウト。
ありがとう。 これで、ちゃんと帰れます。
ヒットフライをパッチに仕舞い、ラインをリールへ巻き切ります。
もうフライは投げないのです。
思った通り、湯滝では3名程の方が順番待ちのようにフライをキャストしておりました。
その様子を眺めながら橋の袂へ腰かけ、駐車場への階段を上るだけの体力が回復するのを待ったのでありました。
この地はやはり美しいですな。川も森も魚も鳥も、全てが美しいです。
大勢の人がそれを求めて訪れるのですな。
大人気なのであります。
やはり特別なシルクラインのシェイクダウンをするのにピッタリな、特別なフィールドなのでありました。
しかしながら。
帰りの東北道をぶっ飛ばしつつ、今後よほどのことがない限り、
「混み合う週末等に、もう湯川へ来ることはないのだろうなぁ・・・」
少々寂しく思ったりもした、今回の湯川釣行なのでありました。
コメント
いいラインですね。
たっぷり油を吸い込んでこなれてきたのでしょうか。
一生使えるのが羨ましいわ。
まずは入魂できましたね。
近所の川にもブルックトラウトらしいのが放流されてます。
過日30分で源頭の釣りができる場所に気づき、今まで見過ごしていたことにショック。稜線まで沢沿いに登れるとのこと。
平日だったこともあり心も洗われるし、イワナもネイティブでした。
FFfreak様、こんばんわ。
入魂というにはあまりに寂しい結果でした。でも、いつも通りとも言えます^^;
厳しく優しい湯川とブルックに感謝です。
シルクラインはなかなか一筋縄でいかない感触もありました。
ゆっくり使いこなして参りたいと思います。
はじめまして。昨日27日に湯川にいらっしゃったんですね?自分は27日は、朝一で赤沼茶屋でチケット購入し、赤沼橋から小田代橋まで歩いてそのまま9:30に赤沼茶屋に戻って来ました。当然、ボーズでした(泣)もしかしたら何処かですれ違ったかもしれませんね?今年の湯川、釣れません(泣)湯川を舐めていました。
ooashifly様、はじめまして!
このページをUPしたのは昨日ですが、釣行日は20日の土曜日でした。
多分今後もタイムラグがあってUPすると思いますので、ご了承願います。
方々の情報を見るに、下流はあまり芳しくないようでしたので、今回は上流に絞ったのでした。
来年は平日を狙っていきたいと思います^^;
今後とも、よろしくお願い申しあげます。